交通科学博物館 その1

(2013年7月20日撮影)

かつて、大阪環状線弁天町駅に接するように立地していた交通科学博物館。
私が物心ついた時にはすでにありましたから、親(非鉄)に連れて行ってもらったり自分で行ったり、もう何度訪れたか記憶にないぐらいです。

環状線のガード下や沿線の細長い敷地を有効活用し、狭いながらも車両や資料の展示には工夫の跡が窺え、なかなかの充実ぶりでした。

屋外や室内の車両展示ももちろん楽しいのですが、私がここに来るたび一番に目指す先は・・・

2台の通票(タブレット)閉そく器に挟まれて、通票閉そくの仕組みを紹介する展示装置が設置されています。
手前のボタンを押すと、ナレーションとともに反転フラップ式で説明漫画がコマ送りされていく仕掛けです。

向かって左側の閉そく器には「お手を触れないでください」の表示があり、上部引手がプラカバーで覆われていますが、右側のはそんなものもなく自由に触り放題です。
もちろん閉そく操作のできない置き物ですが、長年現場で列車運行を見守ってきた年輪のようなものが感じられます。

両閉そく器の間には通票類が陳列されています。

タブレット玉や通券箱などはあちこちで展示されているのを見かけますが、棒状通票はなかなかお目にかかれません。これは湖西線の前身的存在である江若鉄道で使われていたものです。

同様の棒状通票は津軽鉄道と名鉄築港線で今なお現役です。

ボタンを押すとモーターの力で腕木が上下します。
腕木式遠方信号機によく使われたA型電気信号機と同じ理屈ですね。
右下に見える線路は踏切と転轍機の展示で、こちらもボタン操作で動かすことができました。

昔の駅事務室 リニア鉄道館にも似たような展示があったような

非自動な物件としてはこのぐらいで、大宮の鉄道博物館に置いてある双信閉そく器やウェブ・エンド・トムソン式電気通票器のような歴史的骨董品はなく、通票趣味的にはかなりライトな展示内容です。いやこれでも十分マニアックだろが、などと言ってはいけません

非自動関係以外にもコアな展示がポツポツと・・・
初期のマルス102です。

下の写真にある駅名・列車名のハンコ(活字棒)を出力装置に挿入すると、ハンコ横に刻まれた溝を検知して駅名・列車名が入力されるとともに指定券への印字も行うという、なかなか画期的な機構でした。
私が中学生の時にはまだこの型が残っていて、大阪駅かどこかで縦長の指定券を購入したことがあります。

奈良線のCTC表示盤。こんなもんよう持って来たな

奈良線は路線の半分以上が複線となり、今なお複線化事業が進んでいますが、1982年のCTC導入当時は全線単線でした。交通科学博物館の中では比較的新しい展示物です。
このほかにも、新大阪駅にあったパタパタ(操作可能)などが置いてありました。

さて、この日はもうひとつ別の目的がありました。

それは「鉄道落語会」。
東西の鉄な落語家が一堂に会して鉄ネタ落語を披露するというイベントです。
交通科学博物館ホールの舞台に落語が乗るのはおそらく最初で最後だったと思われます。

上方の梅團治師・しん吉師は毎年12月に二人会「鉄の世界」を開催しています

もちろん開演中は撮影禁止なので、開演前のホール内の一コマ。
少々ブレていますが、緞帳の絵柄が素敵でした。


「その2」では主に車両関係の展示をば。