名鉄美濃町線のエレガントな通票扱い その3
(「名鉄美濃町線のエレガントな通票扱い」「名鉄美濃町線のエレガントな通票扱い その2」のつづき)
今回は6つの保安区間を抱える競輪場前-新関間について見ていきます。
この記事もこれまでと同じく「さよなら腕木式信号機&タブレット 」(君島靖彦 現代企画室 2000/8)を参考にさせていただいています。
その前に・・・
以前、神光寺-美濃間の「玉運び電車」の話をしましたが、その実物の写真がおざようさんのサイトに掲載されていましたのでご紹介します。
「回送」の表示を出しているモ591が玉運び電車で、通票を渡している写真ではすでに続行票(赤い縁取りの黄色い円盤)を掲出しています。とても貴重な写真です。
さて、まずは競輪場前-新関間の夕刻から終電までの平日ダイヤです。
駅名の右側の数字1〜6は、各区間の通票を識別するためによんかくが便宜的に付した「通票番号」です(第1 種、第2種…などの「通票種別」ではありません)。
いろんな色を使っているので目がチカチカしますが、スジの色は次のとおり通票の携帯状況を示しています。
青スジ・・・その区間の所定の通票のみを携帯する車両
赤スジ・・・続行票を掲出する車両(通票を携帯する車両に先行)
その他の色スジ・・・複数の通票を携帯する車両
丸数字ごとに見ていきます。
① 19時台前半まで日野橋で折り返していた徹明町発着の先行電車(赤スジ)がここ以降は野一色折り返しとなる関係で、続行運転が発生します。最後の日野橋折り返し電車は通票2を日野橋で待機する係員(保安取扱者)に渡し、新関から来た電車と2両続行(両車とも続行票を掲出)で野一色に向かいます。
② 下芥見から日野橋に到着した青スジ電車が係員から通票2を受け取るとともに通票3を搬送扱いとして野一色に向かいます。これにより野一色-下芥見間が併合となります(緑スジ)。
③ 15分ヘッドから30分ヘッドに移行する関係で、1本だけ青スジの赤土坂-新関間が続行となるため、新関と白金の間に玉運び電車(オレンジ色破線スジ)が走るのではと考えました。この玉運びに続行する電車は白金-下芥見間の通票4を赤土坂まで搬送します。
④ 赤土坂で玉運び+青スジと交換する新関発新岐阜行は通票4,5を受け取り、これにより下芥見-赤土坂間が併合となります(ピンクスジ)。
縦に長くなってきたので再掲します
⑤ 新関発の最終電車は「玉集め電車」です。
通票6を携帯して新関を発った同電車は、赤土坂でピンクスジ最終電車に通票6を見せて続行票を掲出させるとともに通票4,5を受け取り、発車します。ピンクスジ最終電車は美濃行最終電車(通票6所持)の先行として新関へ向かいます。
なお、交換相手の電車に通票を見せて続行票を掲出させる作業を運転士同士で行うことはおそらく法的に許容されていないはずなので、この「玉集め電車」には保安取扱者が乗務してその作業を行なっているものと思います。
⑥ さらに下芥見で緑スジ最終電車に通票4,5,6を見せて続行票を掲出させるとともに通票2,3を受け取り、発車します。
⑦ さらにさらに野一色で青スジ最終電車に通票2,3,4,5,6を見せて続行票を掲出させるとともに通票1を受け取り発車。これにより通票1,2,3,4,5,6をコンプリートした状態で競輪場前に到着します。
⑧ 競輪場前の係員は通票1,2,3,4,5,6を同電車から受け取ったのち、最終1本前の美濃行電車にその6枚の通票を見せて続行票を掲出させ発車させます。
⑨ 競輪場前に到着した新関行最終電車には係員が通票2,3,4,5,6を渡すとともに通票1を見せて続行票を掲出させ発車させます(競輪場前→野一色間は翌朝の一番電車(通票1所持)の先行という関係)。
上記⑧で記した競輪場前での「通票6枚見せ」の様子です(「さよなら腕木式信号機&タブレット 」から引用)。
この写真を初めて見た時、名鉄に就職して美濃町線の運転士になりたいと本気で思いました(笑
その後、ダイヤ改正により競輪場前での6枚見せは日野橋での4枚見せ2枚渡しに変更され、さらに競輪場前-日野橋間の自動信号化によって日野橋・下芥見・新関での3枚見せが最大枚数となったようです。
次回は競輪場前-新関間の平日朝ダイヤの予定です。ちょっと悪戦苦闘しております・・・