くろしおのちながら
(2017年7月29〜30日撮影)
息子の乗り鉄趣味が板についてきた頃のある日、ちょっと昭和テイストな鉄旅をしてみようかということになりました。
まずは新大阪から「くろしお1」で新宮へ向かいます。
この287系車両自体は昭和テイストではないのですが、「くろしお」はよんかくが子どもの時分から走っている古い列車なので一応・・・
で、あっという間に新宮着。あっという間すぎるやろ
ここからは青春18きっぷ使用の普通列車乗り継ぎ旅に変わります。
隣のホームで待機する紀伊長島行が第2ランナー。
紀伊長島では1時間超の乗り継ぎ待ち時間があります。
駅を出てすぐのところにある万両寿司さんでさんまずしをオヤツとして購入。
ほぼ紀伊長島駅弁のように称される老舗の名品です。
乗り継ぎ待ちの間に「南紀」に道を譲ったりします。
新宮からここまで乗ってきた編成がそのまま多気行に化けます。
かつては紀伊長島で1時間以上のドカ停をする新宮発多気行の直通列車だったのですが、さすがに別の列車として分離されていました。
多気で参宮線から来る亀山行に乗り継ぎ。
紀伊半島一周は意外なほどあっけなく終わり、亀山着。
多気にしても亀山にしても、かつては神宮参拝の長大編成列車が発着した名残で、長いプラットホームが堂々たる存在感を醸しています。
これもなかなか昭和(あるいはそれ以前の)テイストな光景。
亀山駅ではなんと「名物志ぐれ茶漬け」という駅弁がネット情報でも販売中とのことだったので、喜び勇んで駅向かいの調製元に行くとシャッターが降りていて買えず・・・
あさりのしぐれ煮がびっしりと乗ったご飯にお茶をかけて食べるという、珍しい茶漬け駅弁だったのですが、この後ほどなく調製元の廃業により永久に失われてしまいました。
駅周辺には他にコンビニすらなく、先ほどのさんま寿司で空腹は多少癒えているとはいえ、少なくとも名古屋までは飲まず食わずとなります。
ここからは久々に電気の道。
名古屋には20時30分着。
味噌カツ定食の遅い夕食をとり、大垣行に乗り込んで西方へ戻ります。
時刻は22時過ぎとなっています。
この時間に大垣へやってきた目的はというと、やはりこれです。
窓口で青春18きっぷに翌日の日付を押してもらい、再びホームへ。
「臨時快速」と味気ない幕の185系の10連がそろそろと入線し、ホーム上の乗客が次々と車内へ吸い込まれていきます。
かつて373系で運転されていた時は列車名の入った幕が用意されていたのですが・・・
指定された席は10号車。
この時すでに車齢30年超の185系でしたが、私は初乗りです。
随所に昭和テイスト、国鉄テイストが滲んでいます。
たばこの吸い殻をくず物入れに…て恐ろし過ぎますが、車内で喫煙自由だった時代はそういうことをする人がいたのでしょう。
息子は初の夜行列車体験となります。
21世紀生まれの彼にとっては最初で最後の夜汽車になるかも知れないと、世代の違いを噛み締めながら少し感傷的になったりしたものでした。
もっとも、成人してからはサンライズに何回か乗りに行ったりしているみたいですが。
夜行列車に乗る前はつい色々と買い込んでしまいます。遅い時間に味噌カツ定食食うたくせに
窓際に飲み物なんかを並べて窓の向こうに流れる街の灯を眺めていると、この狭い座席スペースが一夜限りの棲家となる心地良さと安心感みたいなものが湧き上がってきました。
名古屋を出てしばらくして眠りについたような気がします。
ただ走行音が想像以上にやかましかったのと、窓もガタガタ音を立てて何度か目を覚ましたことはなんとなく記憶に残っています。
5時5分、夜明けの東京に着きました。
さあ、ここからどこへ行きましょうか・・・ (つづく)