列車の編成ご案内1977 〜東日本 1〜

今回は現在のJR東日本エリアを北から追って行きます。
列車編成と車両所属については「交通公社のガイドシリーズ　国鉄車両全ガイド」（高橋摂、日本交通公社出版事業局）を参考にさせていただきました。

前回に続き、今回は東北・常磐・羽越・磐越西線方面です。
東北本線の昼行特急には走行距離順に青森発着「はつかり」、盛岡発着「やまびこ」、仙台発着「ひばり」の3種類があり、「はつかり」「やまびこ」が各5往復、エル特急の「ひばり」は上野毎時00分発、仙台毎時20分発の13往復が設定されていました。使用車両は前々回にも出てきた「はつかり」は青森区（盛アオ）の485系と583系、「やまびこ」は全列車485系。
「ひばり」は3種類の編成が使われていて基本は仙台区（仙セン）と盛アオの485系でしたが、下り4号・上り10号の1往復だけは2両目グリーン車・7両目食堂車の13両編成で「はくつる」や「ゆうづる」と同じ編成なので、583系運用であることがわかります。

485系「ひばり」のグリーン車2両連結編成は1号車がボンネット型先頭車クロ481の0番台でした。クロ481にはサロ481にボンネット型運転台を取り付けて先頭車化した50番台もありましたが、こちらは1975年に仙台区から南福岡区（門ミフ）へ「かもめ」「みどり」用として転出したので、この編成表に描かれている1号車はオリジナルの0番台と思われます。
下はエル特急指定を受けた「ひばり」「ひたち」の時刻表です。エル特急は、列車本数の拡大、パターンダイヤ化、自由席の連結など利用しやすさを全面に出した特急列車の呼称で、1972年10月改正以来、全国各地の特急が指定され一気に特急列車の大衆化が進みました。一方、大量の急行列車が特急格上げ名目で廃止（事実上の料金値上げ）、それに伴う停車駅の増加によるスピードダウンなど、特急の粗製濫造とまでは言いませんが「特別急行列車」の位置付けが揺らぐような面も見受けられ、エル特急という呼称もJR移行後は次第にフェードアウトし現在に至っています。

常磐線の昼行特急は今も変わらぬ「ひたち」。こちらも盛アオ485系によるエル特急で食堂車連結ですが、平（現・いわき）発着列車や昼・夕食時間帯にかからない列車の食堂車は営業休止となっています。
急行列車は常磐線経由の「八甲田」（前々回参照）と東北本線経由の「十和田」。「十和田」は尾久区（北オク）の10系寝台車とスハ43、スロ63を連ねたロネ・ハネ・ロザ・ハザのカルテット編成2往復とオール12系座席車1往復が運転されていました。12系客車は1969年に冷房・自動ドア完備の新型急行用車両として登場し、定期列車のほか臨時・季節列車など波動輸送、東北本線などの普通列車にも使われた車です。
昼行の電車急行は盛岡発着「いわて」（東北本線経由）と、会津若松・喜多方発着の「ばんだい」がいずれも仙センの455系で運転されていました。常磐線経由「もりおか」はその名のとおり盛岡発着で、こちらは勝田区（水カツ）の453系だったそうです。急行とはいえ、どの列車も特急の補完役と言うにふさわしく、分割併結の関係もありグリーン車を2両連結した10連超えの長編成です。上野－平間「ときわ」、小山短絡線・水戸線経由の上野－勝田間「つくばね」はともに水カツの453系でした。

東北本線の急行列車がまだまだ続きます。
寝台急行「新星」・・・前々回は寝台使用時間が短いなどとイジってしまいましたが、実際は東京に遅くまで滞在できる点でかなりの人気列車だったらしく、上りは「ひかり」の一番列車に乗り継げば名古屋801着、新大阪910着とこちらも高い利便性を誇っていました。ただ列車名は、「新しい星」というと聞こえは良いのですが、天文学的な「新星」は恒星が大爆発を起こす現象のことだそうで、縁起が良いのか良くないのかビミヨなところです。
さて、仙台急行「まつしま」と福島急行「あづま」は「いわて」「ばんだい」と同様、仙センの455系が広く共通運用されていたようです。このほか東北本線には上野－黒磯間「なすの」（新前橋区（高シマ）165系）、白河－盛岡間「あぶくま」（水カツ453系）、仙台－青森間「くりこま」（仙セン455系）、編成表にはない仙台－山形間「仙山」（同）といった昼行電車急行がきめ細かく設定されていました。

昼行特急の奥羽本線秋田特急「つばさ」2往復、その短縮版である山形特急「やまばと」3往復は秋田区（秋アキ）の485系、磐越西線「あいづ」編成は仙セン持ちでした。翌1978年10月改正で「つばさ」が3往復となり、「やまばと」と併せて6往復でエル特急に指定されます。同一路線を走る列車同士ではありますが、複数名称を持つエル特急指定は珍しいケースです。
東北方面の昼行特急はほとんどの列車で食堂車を営業していましたが、「はつかり」などの長距離列車を除く食堂車は翌1978年から徐々に営業休止または編成から外され、1982年6月の東北新幹線盛岡開業とともに東北本線上から食堂車が（いったんは）消滅しました。
奥羽本線・磐越西線の急行列車も多士済々で、往年の名列車「津軽」は北オクの旧型客車カルテット編成でしたが1978年10月改正でハザ車が12系に置き換えられています。昼行の秋田急行「おが1」は新庄編成が山形区（秋カタ）、秋田編成が秋田区（秋アキ）持ちのキハ28・58で、夜行「おが2」も北オクの旧型客車カルテット編成。この当時「おが2」季節運転となっていましたが、日によっては秋田駅から快速となって本当に男鹿線男鹿駅まで乗り入れていました。
山形急行「ざおう」、磐越西線経由新潟急行「いいで」、陸羽西線経由酒田急行「出羽」は共通運用のキハ28・58で、いずれも1〜3号車が郡山区（仙コリ）、4〜7号車が新潟区（新ニイ）、8〜12号車が秋カタと所属区どころか鉄道管理局をも跨ぐ寄り合い所帯編成でした。「ざおう」は季節運転だったので、運休の日は「いいで」が10両編成（所定7両＋上野－郡山間のみ8〜10号車を連結）となり、その編成がそのまま「出羽」に引き継がれていたことが注記から推察できます。

房総・総武方面はエル特急「わかしお」「さざなみ」「しおさい」と鹿島線乗り入れの「あやめ」。いずれも幕張区（千マリ）183系ですが、房総の「わかしお」と「さざなみ」、総武本線の「しおさい」と「あやめ」がそれぞれ共通運用だったようです。このほか急行は「外房」「内房」と、銚子急行が成東回り「犬吠」と佐原回り「水郷」、鹿島神宮急行「鹿島」。いずれもグリーン車を含め全車自由席で、千マリの153系と165系が充当されていました。153系は東海道本線・山陽本線その他で使い回されたのち気動車急行置き換え用として幕張区に流れ着いたもので、グリーン車サロ153は回転クロスシートといういささか時代遅れのシロモノだったため、代わりにリクライニングシートのサロ165を組み込んでいました。

上越線には新潟特急「とき」、羽越本線経由の秋田・青森特急「いなほ」、金沢特急「はくたか」。
「とき」は全列車新ニイの181系で、のちに新幹線ができるほどの高需要区間ですから頻繁運転のエル特急に指定され、急行「佐渡」が脇を固める体制です。下のダイヤでは運休が多いのは、この時期に実施されたレール更換工事によるものです。

「いなほ」は「はつかり」「ひばり」の一部列車と共通運用の盛アオ485系で、この当時は新潟駅には立ち寄らず新津駅から羽越本線に入っています。
ちなみに「いなほ1」の所要時間と走行距離を類似時間帯の他列車と比較すれば
「いなほ1」上野1108－1833秋田（7:25、586.8キロ）－2110青森（10:02、772.6キロ）
「つばさ2」上野1204－1939秋田（7:35、570.8キロ）
「はつかり3」上野1030－1904青森（8:34、735.6キロ）
と、さすがに「はつかり」とは勝負になりませんが秋田駅へは「つばさ」より所要時間が短く、さらに大宮－秋田間を途中下車しなければ奥羽本線経由の乗車券で乗れる特例付きなので、羽越本線推しのよんかくとしては秋田へは「いなほ」一択ですな（笑
「はくたか」は金沢区（金サワ）の489系を使用。この489系は485系に横軽協調運転機能を付加した車両で、次に登場する「あさま」「白山」と共通運用でしたが、「はくたか」は碓氷峠を経由せず上越線回りで運転されていました。
上越線を経由する急行列車は金沢行夜行「能登」、昼行は新ニイ165系の新潟急行「佐渡」、直江津急行「よねやま」と、高シマの165系使用の水上急行「ゆけむり」。「佐渡」は4往復中1往復が夜行でした。
このほか吾妻線乗り入れ列車として上野－万座・鹿沢口間特急「白根」と急行「草津」。「白根」は2往復とも臨時列車ということもあってか、車両は伊豆特急「あまぎ」と共通運用の田町区（南チタ）の183系が充当されていました。「草津」は高シマの165系で、上野－高崎間は「ゆけむり」または中軽井沢急行「軽井沢」と併結の14両編成でした。

次回は東日本エリアの2回目、信越線・中央線方面を取り上げます。

＜追記＞
前回の北海道編では車両形式と所属区を明記していなかったので、ここで道内の主な列車の形式・所属をまとめてご紹介します。

【特急】
「いしかり」…781系・札サウ（札幌運転所）
「おおぞら」…キハ80・函ハコ（函館）、札サウ　
「おおとり」「北海」「北斗」…キハ80・函ハコ　
「オホーツク」…キハ80・札サウ　

【急行】
「かむい」…711系・札サウ
「ニセコ（気動車）」…キハ27、56・函ハコ
「ニセコ（客車）」…スハ45、スロ62・函ハコ
「宗谷」「天北」…キハ27、56・1〜2号車＝旭川（旭アサ）／その他＝札サウ
「大雪（昼行）」…キハ27、56・苗穂（札ナホ）
「狩勝（昼行）」…キハ27、56・池田（釧イケ）、釧路（釧クシ）
「すずらん（昼行）」…キハ27、56・函ハコ、札サウ
「大雪（夜行）」「狩勝（夜行）」「すずらん（夜行）」「利尻」…オロハネ12、オハネ12、スロ54、スハ45、スユニ50・札サウ／マニ36・隅田川（北スミ）、金サワ
「えりも」…キハ27、56、札サウ
「ちとせ」…キハ27、56、室蘭（札ムロ）
「るもい」…キハ22、旭アサ