とさでん交通伊野線の通票が

なくなっていました。

高知の電車とまちを愛する会さんのHPによると今年2023年4月9日限りで伊野線朝倉-伊野間の通票が廃止され、翌10日から自動信号化されていたとのことです。
私は2022年9月に現地を訪れており(当ブログ内高知の夜と徳島の昼)、当時は朝倉電停での通票授受が行われていたので、もうしばらくは安泰だと思っていたのですが…

伊野線は複線区間の終端である鏡川橋から終点の伊野まで単線で、そのうち鏡川橋-朝倉間が自動信号式、末端部の朝倉-伊野間が非自動の通票式による保安方式を採っていました。
法的には道路交通の一種である軌道線には鉄道線のような「閉そく」の概念がなく、単線区間においては「対向から車両が来ないことを保証する」だけの「保安」という考え方に基づいています(よんかくサイト とさでん交通伊野線における通票式と続行運転

自動信号式区間と通票式区間との境目である朝倉電停では、伊野行の電車が対向車両から通票の受け取りを失念して発車する重大インシデント事案が過去3回発生しています。
2019年3月の保安方式違反は、朝倉電停での工事の関係で鏡川橋-朝倉間の自動信号を使用停止し指導法による代用保安を実施していたさなかに起こったもので、鏡川橋駅長と乗務員との間で保安方式変更の通告内容の確認不十分が原因でした(鉄道重大インシデント調査報告書 RI2020-1)。
この事案を機に朝倉電停と八代行き違い場所(八代通-中山間 のち休止)には駅長が配置され、通票の授受を確実に行う体制は整いましたが、朝倉-伊野間の自動信号化には至らないまま経過していました。

非自動愛好家である私もさすがに危うさを感じていたので、もうしばらく通票は安泰と言いつつも自動信号化は時間の問題とは思っていましたが、それが記事時点の5か月も前に行われていたとは全く気付いていませんでした。
通票廃止についてはSNSで紹介されている方が数名おられますが、おそらく鉄道趣味界でもほとんど話題にならないままひっそりと消えていったという感じです。

朝倉-伊野間で導入された自動信号は軌道回路検知式のようです。
鏡川橋-朝倉間の自動信号はパンタグラフやビューゲルで架線上のスイッチを叩くトロリーコンダクタ方式なのですが、朝倉-伊野間は事実上行き止まり線なのでトロコン方式より安全性が高いのか、単に設置費用が安いのか、理由は不明です。
休止中の八代行き違い場所での交換が復活することがあれば再度信号装置の改修が必要となりますが、運行本数が漸減している折、可能性は低いと思われます。