すし駅弁 1

めし駅弁めし駅弁2駅弁アート のつづき)

以前の「めし駅弁」シリーズに続いて「すし駅弁」をよんかく駅弁包み紙コレクションからご覧いただきます。鮮魚を使う握り寿司を扱うことが困難な駅弁の世界においては、寿司というと押し寿司、巻き寿司、いなり寿司、ばら寿司ちらし寿司ということになります。

まずは北の方から・・・しかし残念ながら北海道ではすし以外の駅弁ばかり買っていたのか、コレクション中にすし駅弁は見当たりませんでした(泪

八戸駅「八戸小唄寿し」(吉田屋)

駅弁コンクール1位、県知事賞など数々の栄誉に浴した八戸駅の名物駅弁。内容は写真のとおり、酢〆めの鯖と紅鮭を使った押し寿司で、容器と切り分け用のヘラは三味線の胴と撥をイメージしています。
八戸駅(かつては尻内駅)で古くから扱われている伝統的駅弁なんかな…と思いきや、容器の包み紙には「八戸アイデアグループ」の皆さんが考案したとの記載があり、さほど長い歴史を持つ弁当ではなさそうです。

調べてみると「小唄寿司」の発売は1958(昭和33)年で、由来となった「八戸小唄」自体も1931(昭和6)年に作られたいわゆる新民謡だそうなので、1892(明治25)年から続く吉田屋さんの歴史の中でも比較的新しい商品ということになります。新幹線の車中で並んで「小唄寿司」と「H5系はやぶさ弁当」を食べる親子というのもオツな光景かもしれません。
 

直江津駅「押し寿し弁当 越後の小昼」

駅前に立つ「ホテルセンチュリーイカヤ」と「ホテルハイマート」が競うように駅弁を調製・販売していた直江津駅。この「越後の小昼」はイカヤ製で、内容は鮭、ひじきや山菜、筍などを使った押し寿しにチキンナゲットなど現代ふうのおかずを数品添えた、「小昼」にふさわしくライトな軽食弁当という感じでした。
なお、2025年7月時点ではイカヤさんは駅弁から撤退していましたが、ハイマートさんの方は上越妙高駅での駅売りと、直江津駅では駅売りはありませんがホテルの駅弁販売所で買うことができます。
よんかくが先日のおときゅう旅で直江津駅を訪れた時にはすでに完売済(再泪

ホテルハイマート駅弁販売所 ドライブスルーて

ただ、弁当の種類はむちゃくちゃ多いので、直江津駅は隠れた駅弁名所と言えるかもしれません。ちなみにこのホテルハイマートには夕食が駅弁という、駅弁愛好家必泊の宿泊プランまで用意されています。
 

富山駅「ますのすし」「ます弁」(源)

各地の百貨店やスーパーの駅弁大会では必ずと言って良いほどラインナップされている、もはや説明不要の超有名駅弁。酢〆めの鱒の押し寿しで、他の押し寿し系駅弁とは異なり、笹の葉を敷いた経木の桶(わっぱ)に押し込められたままの状態で販売されているのが特徴です。

箱から取り出してもまだ押されて鱒。(桶の中身はフェイク)

桶の内径は17センチぐらいでさほど大きくはないのですが、寿司飯の圧縮度が非常に高いのでよほど大食いの人でない限り1個まるまま平らげるのが厳しいぐらいのボリューム感です。列車の中でひとりで食べるというより、同行者とシェアしたりお土産に持って帰るのに向いている駅弁でしょうね。
そんなに食べられへんわぁという人、列車の中でフツーに駅弁として食べたい人には「ます弁」。細長い箱に長方形に切り出したますのすしを並べたミニ版で、掛け紙ではなく紙袋に入っていました。現在は「ますのすし小箱」として販売されているようです。

ます弁は1989(平成1)年8月10日購入
 

福井駅「鯛寿し」(番匠本店)

1989(平成1)年8月9日購入

「越前かにめし」が有名な番匠本店の定番商品で、酢〆めの鯛の押し寿しをバッテラ状に長方形に切り分けたものが8ピース。現在は「北国鯛寿し」として販売されています。弁当箱は経木製で、蓋と底面は長方形なのに寿司が入る部分は菱形という変わった形状でした。北陸方面の鯛寿し駅弁はほかに敦賀駅・塩荘の「鯛鮨」があり、ひょっとするとそちらの方が知られた存在かもしれません。
 

松本駅「安曇野ちらし」(イイダヤ軒)

2020年8月16日購入

押し寿し系が続きましたが今度はちらし寿司。「安曇野の春をイメージ」という触れ込みでさまざまな具材をちりばめ、信州そばの巻き寿司といった珍味?も添えられて見た目華やかな弁当ですが、肝心の寿司部分が全くフツーの酢飯だったので、椎茸や人参やゴマとかちょっとしたものでも混ぜ込んでくれていたら嬉しいかなと思ったよんかくでした。イイダヤ軒さんには同じテイストな包み紙の「地鶏めし」なる弁当もあり、「4月10日は駅弁の日」についてもそちらをご覧くださいませ。
 

松本駅「やまめ姿寿し」(イイダヤ軒)

1989年8月17日購入

海のない長野県のすし駅弁はちらし寿司系と川魚系がメインとなります。山女魚を酢で〆て押した寿司をバッテラ状に並べたシンプルさですが、酢によく馴染ませているためか山女魚や鮎など川魚独特の臭みは感じられません。ただ加工に手間がかかるからか駅弁としてはちょっと地味だったのか、いつしか販売終了となったようです。
 

成田駅「おすし弁当」(桑原弁当部)

2002(平成14)年10月27日購入

駅弁アートでも登場の成田駅・桑原さん。「ごめんください、どなたですか」の桑原にあらず
廃業されて久しくなりますが、安価でボリューミーな商品で知られた名駅弁業者でした。太巻き、かんぴょう巻きにいなり寿司を添えたオーソドックスな助六寿司なんですがこれも490円と21世紀の駅弁らしからぬ廉価で、コンビニやスーパーの大量生産パック入り寿司よりも深い味わいが感じられる仕上がりでした。
 

大船駅「鯵の押寿し」(大船軒)

相模湾で鯵が上がっていた時代を偲ばせる、大正年代以来の超ロングセラー。酢で〆たマアジの切り身を酢飯に乗せるというか巻きつけた、押し寿司とはいうものの江戸前握りに近い独特なスタイルの駅弁です。大船軒さんは鯵や鯛といった寿司系の弁当を多く扱っていますが、鯵の押し寿司より歴史の長い「大船軒サンドウヰッチ」もなかなかの名品です。
 

沼津駅「寿司」(桃中軒)

2000(平成12)年7月23日購入

「鯛めし」「とり重」などで知られる桃中軒、その明治年代から続く老舗が放つ「寿司」というあまりにもド真ん中直球すぎる駅弁。どこか怒気を帯びたような文字は桃中軒のロゴマークとは対極な迫力が感じられますが、内容はいたってノルマルな巻き+いなりの助六タイプでした。
御殿場回り時代は補機の解結、丹那トンネル開通後は電機と蒸機の付け替えによる長時間停車で駅弁がよく売れていた沼津駅も現在は「あさぎり」以外ほぼ普通列車だけの駅となり、桃中軒さんの軸足も新幹線の通る三島駅に移りましたが、それでも沼津駅での駅弁販売を継続されているのは実に見事と言えるでしょう。

「とり重」と前回「めし駅弁」で漏れていた「鯛めし」

次回は主に東海から西日本方面のすし駅弁をご覧いただきます。