時刻表1961年10月号 地図編その2

巻頭路線図、今回は東北と北海道です。
まず東北地方の南部から。

左端の只見線が会津川口止まりなのと、廃止となった赤谷線(新発田-東赤谷間)、日中線(喜多方-熱塩間)、川俣線(松川-岩代川俣間)が描かれています。
大曲から出ている生保内(おぼない)線は田沢湖線の前身で、生保内駅は現・田沢湖駅です。
三セク化でズタズタになった北陸本線や信越本線と違って、羽越本線が日本海縦貫線の筋をビシッと通しているのが頼もしいですね(←羽越線推しなもんで

この図で目を引くのは中小の私鉄路線が多いこと。
常陸太田・大甕から日立電鉄、西那須野から東野鉄道、糠ノ目(現・奥羽本線高畠)から山形交通高畠線、羽前高松から同三山線、大石田から同尾花沢線、湯沢から羽後交通雄勝線、鶴岡から庄内交通湯野浜線、一日市(現・奥羽本線八郎潟)から秋田中央交通線、石越から栗原電鉄…
見落としがあるかも知れませんがざっとこんな感じです。また、現在は飯坂線のみの福島交通は、飯坂東線と総称される5路線の軌道線を運行していました。
山形交通尾花沢線以外すべて電化路線というのも地味にポイントが高いです。

東北地方北部です。

ちょっと引っ張るだけですぐピリピリと千切れそうになるので、スキャンするのにも気を遣います(大汗

ちょうど綴じ目の部分で分割スキャンしたのですが、なんか見覚えがあるなぁと思っていたら左半分が1枚目とダダカブリしています。綴じ目部分を見やすいように再掲している細やかな心配りと評価しておきましょうか。

南部図でも出てきた田沢湖線の雫石-生保内間、阿仁合線(現・秋田縦貫鉄道)阿仁合-角館間、ほぼ全線がBRTとなった気仙沼線前谷地-本吉間が未成線となっており、また黒石線(川部-黒石間)、大畑線(下北-大畑間)、のちの岩泉線である小本線(茂市-浅内間)が鬼籍入りしています。
廃止された中小私鉄は、馬ヅラ電車で有名だった花巻電鉄2路線、大更からの松尾鉱業鉄道、大館からの同和鉱業小坂線・花岡線、三沢からの十和田観光電鉄。
ほか、津軽鉄道と弘南鉄道は今も現役路線です。

ちなみに、図中にある小判型の「秋田」「盛岡」「新潟」などの標記は、所轄の鉄道管理局名を表しています。

北海道に行きましょうか。

ここも紙面の都合で丸っこくデフォルメされています。宗谷地方がつるんとしていてクラゲのように見えなくもないです。

北海道初の鉄道である手宮-幌内間が地図上でトレースできます。
苫小牧以北は室蘭本線岩見沢方面が太線で、札幌への千歳線は半人前扱いかのように細線で描かれています。道央周辺では歌志内線、上砂川支線、南美唄支線、幌内線、万字線、夕張線など多数の炭鉱路線がピンピンと枝を伸ばしていて、運炭列車華やかなりし頃を偲ぶことができます。

現在では、廃止路線名をいちいち挙げるのも無意味なほど地図上の路線の大半がなくなっています。道内の隅々まできめ細かく線路が張り巡らされていた当時の様子を見ると、もうため息しか出ないですね。
今後はここからさらに函館本線と根室本線のそれぞれ一部が消え去るわけです。

なお、函館・長万部付近に「青函」の文字が見えますが、当時は青函連絡船を挟んで函館本線、室蘭本線、東北本線、奥羽本線の一部とその支線を青函船舶鉄道管理局が管轄していました。

時刻表本文編はまた次の機会に・・・