土讃スヰツチバツク街道

(2022年9月10日撮影)

阿佐海岸鉄道のDMVに乗りに行く道すがら、ちょっと迂回して土讃線を経由してきました。
迂回しすぎやろ

朝イチの高速バスで善通寺に降り立ち、阿波池田行普通に乗り込みます。
土讃線で高知方面に行くからには2つあるスイッチバック駅を堪能しようということで、特急をパスしてのんびり鈍行の旅と洒落込むこととしました。

次の琴平から阿波池田方面へ行く普通は日に6本しかなく、貴重な列車です。

琴平で観光客ぽい人がどっと降り、座席の4割ぐらいが埋まる程度となります。
それとともに一気に車内が鉄分のニオイで覆われるように感じたのは私の気のせいでしょうか…

讃岐財田でアンパンマン南風に抜かれたりします。
何人かがカメラを構えています。なかなかの鉄分です。

讃岐財田の次はスイッチバック駅の坪尻で、6本の普通列車のうち停車するのはわずか3本。
坪尻に近づくと、車内の人々がカメラを手にして動き始めます。ただならぬ鉄分の高さです。

坪尻駅下り場内信号機は「本場」停止「折場」注意現示で、折り返し線への入線を指示しています。

坪尻駅下り場内信号機からホーム到着まで

折り返し線に入って停止すると運転士氏は反対側の運転席に移動し、エンド交換してホームへと入っていきます。
スイッチバック設備は片開き分岐器2基という簡素なもので、もともと本線がジグザグに進む構造のシザーズクロスだったところを、高速化事業で本線を一線スルー化した際に今の配線に改造されたようです。

予想どおり、到着後は一大撮影会と相成りました。

鉄男さんも鉄女さんもお疲れ様です

3分ほど停車ののち発車時刻の1233になると、駅舎前にいる若者2人に運転士氏が「ここで降りるんですよね〜?」と声をかけ、ドアを閉めます。
次の停車列車は1352発多度津行と1454発阿波池田行。最短1時間半待てば列車は来るので、彼らも路頭に迷うことはないでしょう(笑

列車は次の箸蔵を出ると吉野川沿いへ急降下し、佃で徳島線と合流して阿波池田に到着。
構内には「剣山」のアンパンマンカーや「藍よしのがわトロッコ」が停まっていてなかなか華やかです。

乗り継ぎ時間があるので、昼食をとりがてら池田の街中を散策します。

ランチがあると聞いて来たのに閉店…そんなバナナ
いろいろ教えてくれるカルチャーセンターのようです
池田は鉄道の町であるとともに「たばこの町」でもありました

駅に戻り、さっきと同じ1000系気動車単行の普通高知行でスタート。

途中いくつかの駅で特急との交換や待避がありつつ、のんびりした旅路です。
小歩危あたりから雲が厚くなり、ポツポツ降って来ました。
土佐北川あたりで雨がひときわ強くなります。

繁藤を出て次なるスイッチバック駅・新改に近づくと、また車内の動きが慌ただしくなります。
坪尻でカメラを構えていたメンバーとほぼ同じです(爆

新改駅下り場内信号機からホーム到着まで

新改駅は坪尻駅と同じくトンネルとトンネルに挟まれた山深い立地ですが、シザーズクロス配線である点が異なっています。もともと本線が一線スルーなので、坪尻のような改造は不要だったわけです。
また、これも坪尻とは違ってホームが本線から奥に引っ込んだところにあるので、通過列車の車窓からはよほど注意して見ていないと気づきません。

上の動画の0:09〜0:14あたりの分岐器手前左側に小さなホームのようなものが見えますが、これは通票閉そく時代に通票受器及び授器が設置されていた「お立ち台」の痕跡と思われます。高速化改造を受けなかったがゆえに残存できたのでしょう。
土讃線多度津-高知間が四国内で最初(1967年)に自動閉そく化・CTC化された契機として、両スイッチバック駅の存在が大きかったのかも知れません。

ここも一部の普通が通過し、日に上下3本ずつしか停まりません

新改でももちろん撮影会となりましたが、下車する人はさすがにおらず、乗り降りゼロで発車します。
トンネルの連続で山を下り、土佐山田に到着すると単行の車内は瞬くうちに満員となりました。

善通寺から高知まで特急なら約1時間40分、鈍行で途中下車とスイッチバックを2つも体験できて4時間15分。
ちょっと時間をかければ、ひと味違う土讃線の表情が楽しめます(もっとも、日に数回しかチャンスはありませんが…