日田から赤へ
赤は情熱の赤、JR九州のカラー、久大本線の列車も赤。
(「ひこさんのひこぼし」のつづき・2024年10月12〜13日撮影)
鉄道とBRTとの乗り継ぎは1回限りで打ち切りとなるので、再度の乗り継ぎには改めて乗車券を買わなければなりません(鉄道-BRT-鉄道という連絡きっぷは購入不可)。運賃通算ができなくなるとこういう場合に痛いですね。
ちなみに青春18きっぷはBRTも鉄道同様に乗車できます。青春18も今冬から使い勝手が悪くなるから一長一短
今日の最終目的地は日豊本線行橋駅なので、日田駅窓口で大分経由行橋行の乗車券を購入。
来た道を戻って城野駅で大分方面行の列車に乗り継げば2,070円なのに、大分経由なら時間もかかって運賃はほぼ倍になります。でも久しぶりに久大本線と日豊本線の普通列車に乗りたかったし途中下車もできるので、このきっぷで行橋まで行くはし。←シャレにもなってない
きっぷを入手してから腹ごしらえに出かけます。
「日田焼きそば」がご当地グルメということで、駅のすぐ前にある料亭兼食堂で早速注文してみました。麺は太い乾麺を茹でたもので、ラーメンで言うとバリカタかハリガネみたいな芯があって、福知山のゴム焼きそばよりもカタいというか歯応えがあります。
好き嫌いが分かれるかも知れませんけどよんかくはこういうのん好きですわ。
このほか「日田ちゃんぽん」もオススメだそうです
大分行のキハ200は転換クロスシートと思いきやロングシート改造車で、車窓風景も見にくいので、どうせならと前望かぶりつきに立つことにしました。
変わらぬ所属標記 昔:大分鉄道管理局大分機関区 今:大分支社大分車両センター
さっそく3つ先の天ヶ瀬駅で博多行「ゆふいんの森」と交換。いろんな駅でいろんな列車と行き違いながらのんびり進むのは普通列車の旅の醍醐味ですね。
【動画】「ゆふいんの森」と交換
由布院駅に着くとDE10に率いられた「SL人吉」用の客車が。温泉ツアーの団臨か何かでしょうか。
豊後国分駅あたりから車内が次第に混みだし、かぶりつきに立ったまま大分駅に到着。
乗り継いだ中津行普通も2両編成がこれでもかというぐらいに混雑し、結局またかぶりつきに(笑
日豊本線のこの区間での一番の楽しみは日出駅から立石駅までの配線で、大分から小倉までほぼ複線の中にあって日出単線大神単線杵築複線中山香単線立石、と単線・複線が混在するミニ羽越本線チックな区間です。(難読駅名も多い区間です・・・ひじ、おおが、きつき、なかやまが…
日出駅から単線区間に入って最初の駅・大神で「ソニック」との交換待ち。「こんな短い単線区間で行き違うならダイヤを少しずらして複線区間で行き違えよ」というのは非鉄一般人的な感想でしょうが、私などは「こんな貴重な単線区間でよく列車交換してくれた!」と喜んでいます。←ほとんど変態
立石駅から複線区間に入っても、次の西屋敷駅までの上下線は実に見事な離れっぷり(下り線はほぼトンネル)と言えましょう。
中津駅で乗り換えて行橋駅着。1日目の行程はここまでです。
明日も天気良さそう・・・
2日目は平成筑豊鉄道田川線でスタートです。
車内で運転士氏から乗り放題の「ちくまるキップ」を買い、いざ出発。
前身の豊州鉄道の時代から運炭路線として活躍してきた田川線も石炭産業の斜陽化によって輸送量が激減し、1989年にJRから第三セクター・平成筑豊鉄道に移管されました。
今も沿線随所に、石炭輸送華やかなりし頃の痕跡を見出すことができます。
崎山-源じいの森間にある第二石坂(いっさか)トンネル。1895(明治28)年建造のレンガ詰みトンネルで、隣の第一石坂と並び「九州最古の鉄道トンネル」として国の登録有形文化財に指定されています。
建設当時は増加する運炭需要を見込んで複線仕様とされたものの、今に至るまでこのトンネルに複線のレールが敷かれることはありませんでした。
【動画】登録有形文化財を通過
油須原駅に到着。
他の交換可能駅もそうですが、長編成の貨物列車に対応できるよう分岐器から分岐器までの間の交換延長が非常に長く取られています。上下線の間には中線が撤去された痕跡も残っています。
出発信号機が進行に変わり発車。
なにか気になるモノが写ってますが、これについては次の機会に・・・
次の駅・赤で降ります。
1面1線の小さな駅ですが、この駅前から「赤村トロッコ油須原線」が出ています。
油須原線は田川線油須原駅から日田彦山線豊前川崎駅を経て漆生(うるしお)線漆生駅までを結ぶ運炭路線として計画された国鉄路線で、豊前川崎-漆生間は上山田(かみやまだ)線および漆生線の延伸として開業したものの時すでに遅く、石炭輸送が見込めなくなり計画は頓挫、路盤が完成していた油須原-豊前川崎間の一部が未成線として残ってしまう結末となりました。油須原線の一部として先行開業した上山田線と漆生線も今はありません。
その完成済みの路盤を活用して、地元のボランティア団体がレールを敷いてトロッコ列車を走らせているのが「赤村トロッコ油須原線」です。
トロッコは原則として毎月第2日曜が運転日で、今日はその運転日です。朝イチのトロッコに乗ろうと早出してきたものの、すでに乗車待ちの行列ができていました。
車両はかつて岐阜県の神岡鉱山で使われていた正真正銘のトロッコだそうです
ちゃんとしたレールの上を走る本格的トロッコ列車なのですが、正規の鉄道として営業しているわけではないので、運賃の代わりに大人は600円の「寄付」をする体となっています。
寄付金と引き換えに寄付金領収書代わりの硬券が手渡されます。「野原越」というのは、トロッコ折り返し地点の野原越トンネルのことです。
開業してから21年目、もうすっかり赤村の象徴となっている・・・のかな?
私もめでたく第1便に乗ることができました。ボランティアスタッフの方々による運転と案内で、いよいよ発車です。
編成の前後に動力車を連結したプッシュプル運転で、前後それぞれに運転スタッフが乗務しています。
田川線に沿いながら200メートルほど北進し、おもむろに離れて山林へと入って行きます。
ほどなく本村トンネルという短いトンネルに入ります。
その次の野原越トンネルは500メートルぐらいはあるでしょうか、トロッコが低速なのでひたすら長く感じられます。
しばらく経つと、壁面に黒いものが点々と・・・
トンネルに棲み着くコウモリ軍団で、トロッコの通過に驚いてさかんに飛び回っています。
【動画】野原越トンネル入坑〜コウモリ飛来〜折り返し地点
トンネル内にコウモリが棲んでいることは事前説明で聞かされていたので、乗客はコウモリの登場に特段騒ぐこともなく、みな冷静そのものでした(笑
子どもたちはワーキャー楽しそうでしたが、コウモリの実物って見たことないんでしょうね多分・・・
野原越トンネル坑口の明かりが見えてきました。
このあたりは赤村と隣の大任町との境界でもあり、赤村トロッコは律儀に折り返し。プッシュプル運転なので、そのまま逆向きに進んで行きます。
折り返し地点
再びコウモリに苛まれながら往復約25分間のミニトリップを終えて赤駅に戻ると、次の便を待つ長蛇の列が。月1回の運転ということもあるでしょうが、予想以上の大人気です。
下車後、レールをしばし観察。軌間は一般的ナローゲージ(762ミリ)よりも狭く610ミリとのこと。
細いですが立派なレールで、継ぎ目板もしっかり固定されていて犬釘も打ってあります。
走行中に撮った車両の連結器。これもなかなかしっかりとした造りです。
駅に戻ると骨董品的な木製ベンチ。
赤駅なので赤で統一?てなわけではないでしょうが。
物販スペースにはちゃっかりコウモリグッズも置いてありました。
すぐ近くに村役場の駐車場がありクルマで来る人が多いのですが、「ちくまるキップ」を手にした田川線利用の親子連れ客も案外多く、ちょっと嬉しくなりましたね。
私は次の行橋行列車で1駅戻って油須原駅で下車することにします。
謎の「これ」の真相究明は次回をお待ちください。