三岐鉄道博物館めぐり番外編 〜三岐線乗車記〜

三岐鉄道博物館めぐり 〜貨物鉄道博物館〜のつづき・2024年7月7日撮影)

今回の三岐鉄道訪問は2つの博物館見学がメインなんですが、三岐線には1992年1月の初乗り以来30年以上のご無沙汰なので、改めて全線乗ってみたいと思います。

猛暑の中、北勢線阿下喜駅から三岐線伊勢治田駅まで歩いてきた私は(3回目なので以下略

伊勢治田駅からは、まず下り列車に乗って終点の西藤原駅へ向かうことにします。
三岐線の現有旅客車両も滋賀県のココと同じく全て元・西武鉄道車で、西武701系が三岐801系として走っています。先頭車両は手回り品料金なしで自転車を持ち込むことができる「サイクルパス」で、実際に2台ほど輪行されていました。

伊勢治田駅の次、東藤原駅構内の側線にはJR東海211系が何両も留置されていて、一瞬ここどこ?と思ってしまいました(汗
プレスリリースによると予備車含め3連10本の譲渡を受け、2024年度以降順次営業運転を開始するとのこと。導入本数からして既存車両を全て置き換えることになりそうです。西武車危うし!
塗色等がどうなるのかわかりませんが、三岐線のイメージが変わることは間違いないでしょうね。

終点の西藤原駅に到着。蒸気機関車を模した駅舎が風変わりです。

この駅にも、構内に機関車などの保存車両が数両留め置かれています。
貨物鉄道博物館のプレ展示みたいな感じで、博物館休館日でもここに来れば結構楽しめます

ここにもお約束の腕木式信号機がありました。
東藤原-西藤原間は三岐線の中でも最も遅く(1980年代)まで通票閉そく式が残っていた区間なので、その時まで現役で働いていたものかも知れません。

折り返し近鉄富田行に乗車します。
「三岐鉄道近鉄富田駅」・・・他社名が入った駅名って珍しいですね(…大阪メトロ野田阪神駅)

上り列車が東藤原駅に入る直前、突然巨大セメント工場の中に迷い込んだような路線風景が待ち構えています。JR予讃線川之江-伊予三島間にも製紙工場の中を線路が通り抜ける部分がありますが、それと似たような感じです。

【動画】東藤原駅到着

さて、三岐線の見どころのひとつが通過信号機です。です、て断言されても
三岐鉄道で使われている場内・出発信号機は一部を除き、停止(R)と進行(G)の2つの灯火しかない2位式信号機で、場内信号がGであっても出発信号がRかGかが判別できないので、通過列車がその駅を通過して良いかどうかを事前に知らせるため、場内信号機の下位に通過信号機が設置されています。
その駅の出発信号がG(=通過可能)であれば通過信号もGを、出発信号がR(=通過不可、停止)であれば通過信号はY(注意)を現示します。

上の写真は伊勢治田駅の上り場内信号機で、上から本線場内信号機、副本線場内信号機、そして一番下の背板が長方形のものが通過信号機です。通過信号機がY現示なので出発信号機はR現示と判断でき、この列車は伊勢治田駅に停車することになります。
現在の三岐鉄道の旅客列車は全て各駅停車なので、通過信号機は貨物列車専用です。

通過信号機についての詳細はこちらをどうぞ→ YouTubeよんかくチャンネル「通過信号機」

いよいよ貨物鉄道博物館の最寄駅である丹生川駅に到着します。
三岐線はどの交換可能駅も、長編成の貨物列車に合わせた長い交換延長を持っています。

【動画】丹生川駅到着

丹生川駅と貨物鉄道博物館については前回記事「三岐鉄道博物館めぐり 〜貨物鉄道博物館〜」をご覧ください。

さて、貨物鉄道博物館見学を終えて丹生川駅ホームで近鉄富田駅行を待っていると次にやってきたのは801系西武赤電カラー編成で、ホーム上ではカメラやスマホの大放列。
私も…とポケットからスマホを取り出すとまた「高温注意」で機能停止。なんでやねん。

西武赤電カラー(近鉄富田駅到着時に撮影)

このほかに西武イエロー編成もあるらしいのですが、今日は見かけることはありませんでした。

日曜なのでカモレはウヤかなと思っていたら、次の三里駅でいきなりフライアッシュ列車と交換。
冷房に当てて冷やしていたスマホであわてて撮って。何やってるんや俺…

【動画】三里駅で交換(1/2倍速でもたった8秒)

しばらく走ると保々駅。車庫や運転区、CTCセンターなどがある三岐線の一大拠点駅です。
ここにも211系の姿がありました。なにしろ30両もの大量入線ですから、あちこちに分散させて留置しているのでしょう。

JR線と並走しているような保々駅

近鉄富田駅に近づいてきました。
三岐線のもう一つの見どころは三岐朝明(さんぎあさけ)信号場ですね。ですね、て同意求められても
ここは近鉄富田駅方とJR関西本線の富田駅方への線路が分岐・合流するポイントです。

三岐線の本来の起点は近鉄富田駅ではなくJRの方の富田駅で、今は貨物列車のみが発着しています。
昔は旅客列車も全て国鉄(当時)富田駅の発着だったのですが、三岐線の利用者は利便性の高い近鉄への乗り換え客がもともと多く、近鉄富田駅方面へ分岐する連絡線を作ったところますます近鉄富田駅への流れが大きくなり、1985年3月にはついに全旅客列車が近鉄富田駅発着となりました。

国鉄富田駅発着があった頃の時刻(交通公社の時刻表1978年8月号から)

1978年当時の時刻表を見ても、国鉄富田駅発着列車はすでに下り2本上り1本(+区間列車1本?)という寥々たる状況でした。
蛇足ながら「宇賀渓口」という駅名が見えますが、これは現在の三里駅が一時期名乗っていた名称で、景勝地・宇賀渓へのバスが発着していたことによるものですが、今はバスも走らなくなり、駅名ももとの三里駅に戻されました。このあたり、一時期「明治村口」を名乗っていた名鉄小牧線の羽黒駅と事情が似ています。

さて、三岐朝明信号場です。
もともとは1面1線の旅客駅で、近鉄富田駅への連絡線が作られる前からある古い駅でしたが1989年3月末をもって廃止され、分岐型信号場となったものです。
連絡線が後からできたこともあり、分岐を通過する近鉄富田行列車は30キロ制限を受けます。

【動画】三岐朝明信号場を通過

三岐朝明信号場関連の信号機の配置はこのようになっています。

上り出発信号機の配列(JR富田方が上位)といい分岐器の速度制限といい、あくまでJR富田方が主で近鉄富田方が従という関係です。

JR富田方の線路は築堤から降りて富田駅へ、近鉄富田方へ行く旅客列車は近鉄名古屋線と並走しながら近鉄富田駅へと滑り込みます。

三岐線近鉄富田駅は近鉄の名古屋方面ホームの片面を拝借する共用1面1線の質素な駅です。
近鉄名古屋方面へは同一ホームで乗り換え可能となっています。

ホーム上のICカード簡易改札機にタッチして乗り換え

一方、貨物列車はJR富田駅でJR貨物の機関車に付け替えた上で関西本線に乗り入れます。
セメント列車は亀山方へ走行し、四日市駅から側線に入って太平洋セメント専用線で四日市出荷センターへ向かいます。
また、炭カル列車は東海道本線大府駅で衣浦臨海鉄道のDLに引き継がれ、武豊線東浦駅から分岐する衣浦臨海鉄道碧南線で碧南市駅へ。帰りはフライアッシュを積んで逆ルートで東藤原駅へと戻ります。

こんどは貨物列車メインで行ってみたいと思います、三岐線。

@貨物鉄道博物館