旧客カフェ
(2023年7月22日撮影)
元・国鉄の旧型客車を活用したカフェがあるというので、行ってみました。
自宅からクルマで1時間半以上かかってたどり着きました。
店の横にはやたら背の高い踏切警報機が立っています。
池の堤防と道路とに挟まれた細長い敷地に車体を横たえています。
店の名は「ファースト・トレイン」。
鉄道で行こうとすると南海本線鳥取ノ荘駅から歩いて約20分、阪和線の和泉鳥取駅からも30分ほどかかるので、ちょっと不便です。
白と紺色に塗り分けられた車両の妻面が出迎えてくれます。
短い階段を上がると乗降扉があります。
扉の向こうは厨房なので締切となっていますが、その横には号車札受け、列車種別札受けなどがそのまま残っていました。
客室への出入口は車体側面に向かって中央右寄りにあります。車体の約1/3が厨房とレジ、残りが客室という感じです。
観葉植物がいっぱい置かれていて、ちょっとトロピカル?
室内はクロスシートが取り払われて通路が片側に寄せられ、2段式や3段式のB寝台車のように見えなくもないです。
私が車内の写真をパシパシ撮っていたら、幼児連れの女性グループもパシパシ撮り始めました。
店そのものは地元客や遠来の客やらで結構賑わっていて、入店待ちの人もいます。
私は一番奥の長テーブルに案内され、店員さんと親しげに喋っていた地元らしいおっさんに会釈して相席させてもらいました。
天井にはJNRマーク入り扇風機と白熱灯、そしてベンチレータがずらりとならび、現役時代を彷彿させます。
白熱灯はもちろんLEDのものに付け替えられてはいますが、雰囲気を損なわないよう昔のイメージにかなり近い形状のものが使われています。しかしようこんな照明器具売ってたな
私の席の真上にも扇風機が付いていましたが、すぐ横にエアコンの吹き出し口があるので無用の長物化しています。実際には回らない飾り物のようです。
網棚と衣服・帽子掛け。
こちらは単なる飾りではなく有効活用されていました。
デッキへの扉もほぼそのままの姿。
扉の向こうには、車端部に接するように増設されたお手洗いがあります。
たしかに、便所は当時のものをそのまま使うわけにいかんでしょうな・・・
デッキへの扉の横に搬入時の写真が飾られていました。
種車はオハ46378。最晩年は亀山にいて、紀勢本線や関西本線などで働いていた車です。
入店前はかつての食堂車のイメージを勝手に思い描いていたのですが、店内の造作や雰囲気は食堂車ではなくあくまで「食堂となった一般型客車」であって、私は良い意味で裏切られました。ちなみに京都鉄博には引退後も食堂車をやらされているオシ20がいます
さて、車内観察をしているうちに注文のランチが運ばれてきました。
業務用食材ぽくない、手作り感のある素朴な味です。
老朽客車を店舗として維持するのは並々ならぬご苦労があるものと察せられますが、さいわい多くの人々から愛されている店のようで、これからも長く営業されることを願わずにいられません。