釧網本線

(2023年7月2日撮影)

北見の宿を少し早く出ます。
日曜日ということもあってか、昨夜の賑わいとは打って変わって静かな朝です。
今日は釧網本線で釧路へ至り、飛行機で帰途につく予定です。

カーリングのまち そだねー

@上川

網走行はキハ54をキハ40で挟んだ3両編成。
気動車の異形式混結は昔はよく見られたのですが、最近の気動車は形式がかなり整理され、加えて単行運転が多くなったこともあって珍しい光景となりました。

網走では今まで何度か下車したことがあるんですが、駅が市街地からやや離れているからか、街歩きをしたとか観光したとかという記憶がありません。
次の機会にはぜひ監獄見学に行ってみたいものです。監獄へは行きたいけど入りたくはありませんな

煉瓦造りの壁面に毛筆看板は少し監獄の雰囲気?

待合室内のモリヤさんの売店で昼食・夕食用の「かにめし」と「オホーツク弁当」を購入して、次に乗る快速「しれとこ摩周」を待ちます。快速と言っても通過するのは利用者がほとんどいない細岡駅だけで、事実上は普通列車です。

やってきた「しれとこ摩周」は単行で、車内はたちまち満席となります。
これまで道内でいろいろ乗ってきたわけですが、複数両編成の列車はガラガラで単行列車は混むという、いささかバランスが良くない感じです。

座席は流用品のリクライニングシートですが、集団見合い式に固定されていて回転はできません。背ズリは一応倒せるものの、座席間隔が狭いのでちょっと倒しにくいですね。

発車時刻が近づくと、これも何十年ぶりかのゼンマイ式オルゴール版「アルプスの牧場」が車内に鳴り響き、運転士氏の肉声で到着時刻などのアナウンスが流れます。
下の静止動画の最後に尻切れトンボながら「アルプスの牧場」が入っています(音量にご注意を)。

網走を発車すると曇り空の下を快調に走り始めます。
進行方向右側に座っているのですが、海岸沿いに出ると左側の方に絶景が展開するのでちょっと後悔したり。

そのうち列車は浜小清水の原生花園沿いに差しかかり、エゾキスゲの黄色い群生が車窓を撫でていきます。

どんよりした天気が恨めしや…

原生花園駅は国鉄時代は正式駅ではなく仮乗降場で、乗降客が列車の前後を横断して危険だというので一旦廃止されたのですが、JRになってから季節営業の臨時駅として復活しました。

駅にクルマで訪れたと思われる人々が列車到着とともに一斉にカメラやスマホを向けます。
車内の乗客よりもあきらかに数が多く、この人らがこぞって乗ってくれてたら列車は2両3両と増結され本数も日に数本てなことはないやろうに…と、切ない気分になります。

列車はオホーツク海に別れを告げ、知床斜里に到着。

ここで「しれとこ摩周」同士の列車交換があります。線内ではこの列車唯一の行き違いです。
網走行は2連。あちらはそんなに乗っていない印象で、立ち客もいるこちらに1両分けてほしいぐらいです。

ここから線路は内陸部へと入り込んでいきます。
かつての緑-川湯温泉間は両駅で折り返す列車が多く、日に3往復程度しか走らないボトルネック区間だったのですが、今は全線直通列車が5往復運転され少しだけ乗車しやすくなりました。

今は釧網本線だけの駅となった標茶はもと標津(しべつ)線の分岐駅で、駅そばの営業もありました。現在も委託ながら係員がいます。

標茶を出て茅沼あたりから釧路湿原の中を走ります。
湿原の北の玄関口でノロッコ号の折り返し駅・塘路で観光客がどっと乗り込み、デッキだけでなく通路にも立つ人が出てきました。

この先の釧路湿原駅でも降車以上に乗車数が多く、通路やデッキにぎっしり立つようになります。釧路まであと3駅20分とはいえ、立つことをあまり想定していない構造の車両で立つのは相当キツいと思われます。
それに各駅での乗り降りに時間がかかって数分遅れが出ており、釧路駅での空港リムジンバスの乗り継ぎが非常にタイトな私も気が気ではありません。

車窓は佳景ですが車内は通勤電車さながらの混雑

東釧路到着直前に車内の動きが慌ただしくなり、網棚から荷物を下ろし通路に立つ人を押し退けて下車しようとする人が何人もいたりしてちょっと険悪?なムードに…
10数人ぐらいが下車し、ほどなくやってきた根室行に乗り換えていきました。浜中町出身のモンキー・パンチ氏にちなんだルパン三世ラッピング車です。
これに乗って根室まで行ってしまうと今日中に帰宅できなくなるので、私は後ろ髪引かれる思いで列車を見送るしかありませんでした。

釧路には1分遅れで到着し、駅を出て阿寒バスの空港リムジン乗り場に急ぎます。
今日の午前中までずっと曇天もしくは雨天だったのが、私が北海道を離れようとするのを待っていたかのように空はすっかり晴れ上がり、暑ささえ感じられます。
どうも年齢を経るごとに雨男的傾向が強まってきているようで、いやな感じです。

あとは釧路空港から粛々と帰るだけとなりました。
網走で購入した「かにめし」を機内で開いて最後の北海道の味を噛み締めました。

飛行機の中で駅弁を食べるのは2回目です。