天空の彼方
(2016年10月撮影)
信心に乏しい私ですが、高野山へ行ってきました。
目的は南海の誇る老朽車改造観光列車「天空」です。
橋本から高野線の終点・極楽橋まで和歌山県内の山岳区間だけを走行するので、まず橋本駅へ。
先行の各停を見送って「天空」入線。
見慣れた改造前の22000系とほぼ同じ顔なので、いかに「緑の電車・南海電車」とはいえ、この配色には個人的にむちゃくちゃ違和感があります。
「天空」車両は2両で、橋本方に2000系または2300系2両が自由席車として連結され4両での運転です。自由席車はもちろん特別な料金は不要で、南海本線の「サザン」みたいな形態です。
特急の座席指定券はネット購入できるのに「天空」の指定券はなぜか未だに電話予約のみ。ホーム上の「天空指定券引換所」で予約番号を告げ、指定券を購入します。
この時はスタンプ捺しのペラ券でしたが、今は発券機で発行されます。
車窓の眺めはほぼほぼ極楽橋方に対して右側に展開するので、車内は右側の窓を向くベンチシートとその後方一段高いところにも同じ向きの肘掛け付きロングシート、そして運転席後ろにはかぶりつきシートが2列という座席配置。
私の席は後方のロングシートで、もちろんかぶりつきがよかったのですが予約時に座席を選ぶことができず、発券時に席が割り当てられます。
そのかぶりつきには、いかにも前面展望に興味なさそうな人々が陣取っています。
運転席をチラ見すると、往年の急行運用の時と変わらぬツーハンドルの古典的な運転台。
「天空」は特急ではないのですが、ダイヤ上での分類は特急扱いのようです。
特急「こうや」は橋本-極楽橋間ノンストップ(表定速度は各停と同程度)で、「天空」は途中、学文路と九度山に停車します。
高野下を通過するといよいよ最急勾配区間。ズームカー独特の対急勾配性能で、30km/h台の低速ながらもグイグイ登っていきます。
急勾配とともに急カーブも連続するので、車輪のフランジがレールを擦るキーンキーンという音が絶えず車内に鳴り響きます。かなり不快な音ですが、南海で高野山へ行く人は入山前の修行のつもりで耐えるしかないようです(汗
道中の車窓風景などはYouTubeに動画がいっぱい上がってますのでそちらをご覧ください。をぃ
終点の極楽橋駅で鋼索線(ケーブル)に乗り換えます。
まだ3代目のコ11・12が就役していた頃で、特急「こうや」4両編成の乗客全員を一度に運べるガタイの大きなケーブルカーです。
普通鉄道とはひと桁違う最大568.2‰の勾配を登り切り、高野山駅に到着。
下界も雨模様でしたが、山上はひときわ雨が強くなります。
この駅への鉄道以外のアクセスは国道480号線から分岐した町道と南海りんかんバス専用道の2ルートで、町道を行くと山内はずれの大門の外方まで行ってしまい遠回りとなるので、一般客の大部分は専用道を行くバスを利用します。
私もバスフリー券付き割引きっぷを持っているので、バスで金剛峯寺へ向かいます。
と言っても、高野山全体が金剛峯寺の境内なんですが。
総本山の本坊へ。
奥の院の方へも。
歴史上の人物の墓から団体、企業などが建立したアヴァンギャルドなオブジェ付きの墓までずらりと並ぶ様子はなかなか壮観で、私は5回目なんですが毎回飽きることなく歩いています。
山中の路線バスのほぼ全線に乗ったのち、高野山駅から下山します。
帰りは定番中の定番で。
「こうや」は3編成しかないのに、この5月に御幸辻-橋本間の小原田車庫で1編成が脱線・故障してまだ復帰できていないため、2000系の全車自由席特急が一部代走するなど苦しい車両繰りが続いているのはナイショの話です。長いナイショ話やな
今回のお土産は、般若湯という水薬です。
一見酒徳利のように見えますが、何せ不許葷酒入山門な土地柄ですから酒などあろうはずもなく、あくまで滋養強壮の薬。です、はい。 ウィ〜。 ヒック