おときゅう旅3 北上→横手→福島→仙台

(2025年7月4日撮影/「おときゅう旅2 柳津→気仙沼→釜石線」のつづき)

早朝の新花巻駅から北上駅へ。
昨日乗ってきた釜石線のレールが一直線に伸びています。

いつもなら在来線乗り継ぎで行くところ、今回は当然おときゅうパスの恩恵にあずかります。
ひと駅わずか7分間の贅沢な?新幹線旅です。

7分間の贅沢

北上駅1番ホームに回り、北上線に乗り込みます。
北上線は全国のJRでもかなり遅くまで通票(タブレット)閉そく式を施行していた路線で、線内無停車の臨時急行「おが」や臨時快速「千秋」の通票通過授受を見るため何回か足を運んだ思い出の路線です。
よんかくサイト「非自動写真館」北上線ページにその当時の写真や動画を載せているのでよろしければご笑覧ください(PR)

発車時には単行の車内は高校生で満員となり、そればかりか途中駅からもどんどん高校生が乗り込んできます。フツーなら高校が多そうな北上駅へ向かう流動が大きいと思うのですが、北上線沿線に大きな高校があるのかなと制服やカバンをチラと見ると「Nishiwaga」と書かれてありました。
高校生たちはほっとゆだ駅で一斉に下車し車内の乗客は数人に激減。県立西和賀高校は湖と山に囲まれたこの駅からバスで15分ほどの山あいにあり、県外からの「ふるさと留学生」も受け入れているそうです。

ほっとゆだ駅からかぶりつきに立っているとあっという間に横手駅。あっという間にというのはオーバーとしても、久々の北上線は車窓を見る眼に力がこもり、時間を忘れていました。

ここからは奥羽本線上りの院内行に乗車します。
2024年7月の豪雨災害で村山-院内間の線路が大きな被害を受け、そのうち長期不通となっていた新庄-院内間が2か月余り前の2025年4月25日に運転を再開したところでした。
復旧とともに、1往復を除いて全列車院内駅または横堀駅での乗り換えを要するダイヤとなっています。

横手駅発車 左方は北上線

かつて秋田・青森行特急「つばさ」が走っていた新庄-大曲間は、1999年12月の山形新幹線新庄駅延伸を境に普通列車と快速列車しか走らない区間となりました。それでも駅間には幹線系線区の証とも言える閉そく信号機が設置され、優等列車が普通列車を追い抜く運転が可能なのは以前と変わりません。

次に乗る新庄行は院内駅のひとつ手前の横堀駅発で、横堀→院内間を追いかけっこのような形で続行します。横堀駅の3番ホームにはその新庄行が待機し、ここで新庄行に乗り換える人が席を立ちました。なぜ横堀-院内間が2列車続行という形になっているのかがこの時はよくわからないまま、横堀駅を発車。

減速(YG)現示の上り第1閉そく信号機を過ぎてわずか100メートルぐらいで、注意(Y)現示を出す院内駅場内信号機が現れます。列車本数の多い都市部の複線区間と同じぐらいの短い信号機建植間隔ですが、ほとんどの列車が院内駅終着となり場内信号機がY現示を出すようになった今では、場内信号機までYGでノロノロ走る距離を短くするため第1閉そく信号機の位置を院内駅寄りに変更したのかも知れません。

【動画】第1閉そく信号機→院内駅場内信号機→院内駅3番線到着

院内駅1番線側には「院内銀山異人館」併設の駅舎があり、見学したい気持ちもありましたが新庄行への乗り継ぎ時間が5分ほどしかなく断念。院内銀山は明治時代までは国内最大級の産出量を誇る大銀山で、異人館は当時の外国人技師の居宅をモデルにしたものだそうです。

上述のように院内-新庄間は今年4月25日に復旧したばかりの区間ですが、災害時の早期復旧に対応できるよう電化設備を廃止して「非電化」化で運転を再開し、これに伴って横堀駅または院内駅で電車・気動車の乗り換えが必要となりました。
横堀駅から後を追いかけてきた新庄行のGV-E400系は北海道のデクモことH100形と同じ、非ハイブリッド型の電気式気動車で、非電化化後の主力となっています。

秋田方面からの院内着列車は3番線着、新庄行は2番線発着のため、院内駅では同一ホームで乗り換えできます。先ほどの横堀駅でも、跨線橋の上り下りを厭わなければひと足先に乗り換えができます。
逆に、新庄方面からの横堀行は院内駅1番線に入るため秋田方面への乗り換えは跨線橋経由となりますが、横堀駅では2・3番線で同一ホーム乗り換えが可能です。
横堀-院内間の2列車続行の意味はここにありました。

院内駅から次の及位駅までのひと駅間8.6キロは複線となります。1968(昭和43)年9月、いわゆるヨンサントオ改正による列車増発に合わせて複線化されたもので、当時は特急「つばさ」のほか急行「月山」「おが」「千秋」「津軽」、そして貨物列車も加わる賑やかさでしたが、今は快速と普通合わせて7往復、複線区間内で上下列車の行き違いが日に1回あるかないかというダイヤになっています。

【動画】複線区間に架線のない架線柱

院内駅を出てまもなく、架線を取り払われた架線柱が累々と続くようになります。まだ架線が残っている区間も多いのですが早晩撤去されるのでしょう。ただ架線柱に関しては通信用ケーブルを吊下しているものがあるため、完全に引っこ抜かれることはないと思います。

真室川音頭で名高い真室川駅を過ぎ、院内駅から50分で新庄駅着。
新庄駅から出る陸羽東線は2024年7月豪雨の影響で鳴子温泉駅まで運休、陸羽西線は新庄酒田道路のトンネル工事のため余目駅まで全線運休で、山形新幹線で先に行くしかない現状です。
それにしても、並行するライバル道路のトンネル工事に協力して運休(しかも工事遅延)を余儀なくされ、しかもトンネル完成後はさらに窮地に立たされるであろう陸羽西線が不憫でなりません。

山形新幹線のホームに向かうと、何か様子が変です。

次に乗る「つばさ140」は東京行のはずなのに、発車案内の行先には赤字で福島と表示されています。
「つばさ」運用のE8系電車に電気系統の不具合が見つかったため同形式の単独運転を休止し、車両運用の都合で福島-新庄間の折り返し運転を行っているとの情報。
よんかくはもともと福島駅で降りて仙台方面へ向かうことにしていたので影響はなかったのですが、東京方面への旅客は福島駅での乗り換えが必要となり、駅の放送や車内放送では何度もお詫びと乗換案内が繰り返されていました。

ピンチヒッターに引っ張り出されていた?先代のE3系

実は山形新幹線には初乗りだったりするよんかくです。奥羽本線(山形線)としては全線乗っているのですが、今までは周遊券や青春18利用の普通列車ばっかりだったもんですから(汗

中川-赤湯間にある北赤湯信号場を通過。中川駅方の単線が複線となる複線始終端型信号場で、ここから赤湯駅まで複線区間になりますが、赤湯駅から先はまた単線に戻ります。このあたりは山形(複線)羽前中山(単線)北赤湯信(複線)赤湯(単線)関根・・・という具合に単線・複線が目まぐるしく変わるミニ羽越本線みたいな区間で、もうちょっと頑張れば山形駅から赤湯駅まで完全複線化できるのに残念、という感じです。

【動画】北赤湯信号場通過 下から線路が出てきます

やや混乱の色が見える福島駅から「やまびこ137」で仙台駅へ。ちょうど局所的なゲリラ豪雨に見舞われている最中でした。

仙台1441発仙山線山形行で山形駅へと向かいます。

え?山形てさっき通ってきたばっかりとちゃうの?

いえいえ、ちゃんとした理由があるのです。

(次回に続きます)