すきすききすき線 2

「すきすき木次線 1」のつづき)

出雲坂根駅で下車の「二段式(笑)スイッチバック体験ツアー」御一行に見送られた我が列車は八川駅を過ぎ、その次の出雲横田駅に向かいます。

出雲横田駅の上り遠方信号機

備後落合駅から出雲横田駅までは日に3本だったのが、ここから宍道方は定期列車の本数が9本に激増(!)します。
出雲横田駅に到着してみると反対側ホームでは備後落合行が交換待ち中。時刻はまだ15時50分ぐらいですが、これが下りの最終列車です。

備後落合行最終列車と交換

【動画】出雲横田駅に到着、発車

次の亀嵩駅は棒線駅で、Wikipediaによるとかつては2面2線の交換可能駅だったそうですが、駅の前後には元・交換駅特有の両開き分岐跡の不自然な曲線がなくまっすぐ一直線となっています。当時としては斬新な一線スルー交換駅だったのでしょうか。
その次の出雲三成駅は現役の交換可能駅。かつてタブレット閉そくだった頃は朝晩しか列車交換がなかったため昼間時間帯は木次ー出雲横田間で併合閉そくとし、その間この駅は無人となっていました。
特殊自動閉そくとなった現在はもちろん全日列車交換可能ですが、それでも10時台から15時台までは今も列車交換がありません。まぁそれを言い出したら列車交換が皆無の出雲坂根駅はどないなんねんという話なんですが。

出雲三成駅

列車は木次駅に接近。11月のことですから木次駅を出発した17時過ぎあたりでかなり暗くなったので、動画や写真撮影をやめてロングシートに腰掛け、窓の外を眺めながら宍道駅まで乗り通しました。

【動画】木次駅到着

 

 

と、これですんなりと終わってしまっては「すきすききすき」の看板倒れも甚だしいので、ここからは本邦初公開の秘蔵写真(笑)をご覧ください。

山陰方面への家族旅行の際、非鉄一般人の妻を強引に説得して乗車した「奥出雲おろち号」(2011年8月5日撮影)
「おろち」は時期によって出雲市始発だったり木次始発だったりするのですが、この日は木次始発なので普通列車に乗って木次駅までやってきました。

木次駅に入線

上り方(宍道方)からDE101161+座席車+トロッコ車の3両編成で、座席車とトロッコ車はいずれも12系客車からの改造車です。上り列車は牽引・下り列車は推進で運転するため、下りの先頭車となるトロッコ車には運転台が設置されています。
座席車は荒天時の避難場所という役回りなのか、基本的に乗客はトロッコ車に乗り座席車は空車という関係なのですが、ひところ座席車の指定券も販売して2両フル稼働で運転していたこともありました。

木次駅2番ホームに定期列車と縦列停車 京阪淀屋橋か

駅待合室の横の展示スペースにはヘッドマークやサボなどが置いてありました。
右端の「むらくも」は1990年前後の普通列車にイベント的に付けられていたヘッドマークだそうです。

走り出しました「奥出雲おろち」。
天気が良くなく、光量不足であまりキレイな動画ではありませんが。

【動画】「奥出雲おろち号」車中

「奥出雲おろち号」は車両老朽化との理由で2023年11月をもって運行を終了、2024年4月からは「あめつち」にバトンが渡されました。しかしながら「あめつち」は非力なキハ47改造車ゆえ、出雲坂根駅の三段式スイッチバックを含む急勾配区間に乗り入れることができず、木次線内は宍道-出雲横田間の運転にとどまっています。

これで、観光列車も走らなくなった出雲横田-備後落合間への訪問難度が未曾有なほどに高くなってしまい、ますますこの区間の存在意義が薄れる一方と言わざるを得ない状況となりました。
鉄道は決して「すき」だけで走らせられるものではないと承知しながらも、芸備線もそうですが何とかもうひと花咲かせることはできないものでしょうか。

「奥出雲おろち号」のパワーで華やかに締めくくろうと思いましたが逆に湿っぽくなってしまいましたので、次回は番外編として木次線が(今よりは)元気だった頃の写真をご覧いただいて、木次線シリーズを終えたいと思います。