道内時刻表1985年8月号 バス編

もう終わったと思っていたら忘れた頃に再開の道内時刻表シリーズです(笑

国鉄の部が尽きたところからおもむろに始まる会社線ページに私は、万年脇役だけれども燻し銀の渋い演技を見せる老練役者のようなイメージを持っています。
とくにバスは路線名や停留所名を見るだけで、これに乗ると一体どんな場所に連れて行ってくれるのか(どこに連れ去られるのか)、いろんな想像が膨らみます。

全国版時刻表では利用客の多い主要路線や観光路線など一部のバス路線しか掲載されないのに対して、道内時刻表は地域密着の強みを活かし、ほぼ地元住民専用と思われるような細かい路線まで数多くカバーしています。

その中で、私が勝手に興味をそそられたバス路線をいくつか。

「○号線」という地名や停留所名は道内でよく見かけます。
湧別町営バスの芭露(ばろう)、計呂地(けろち)は旧・国鉄湧網線に同名の駅があり、現在の計呂地駅跡には駅舎やホームを活用した鉄道資料館があるそうです。
この路線は芭露駅で湧網線と接続していたようですが、湧網線ダイヤと照合して見ても列車との接続があまりよくありません。
竜宮台は、サロマ湖とオホーツク海を隔てる細長い砂州にある景勝の地です。

道内時刻表ではバス路線にも律儀に「営業キロ」が記載されています。もちろん運賃計算上の意味はありませんが、だいたいの位置イメージが掴める点では地図・地理ファンにはちょっとありがたいサービスでした(バスの営業キロ欄はのちに削除されました)。

入植者の出身地から取った地名も数多く見られます。千葉団体は芭露から内陸側に入った東芭露地区にあり、付近には岐阜団体、福島団体もあったそうです。
湧別町のサイトにこの路線は載っていないのでおそらく廃止されたものと思われますが、2014年6月撮影のストリートビューには東芭露停留所があり、千葉団体はここからまだ少し先に行ったところではないかと推察しています。

次はオホーツク海沿いに少し北へ上がった紋別周辺です。

滝上は紋別郡滝上町の中心部、旧・国鉄渚滑線の北見滝ノ上駅付近と思われます。地名は渚滑川に数瀑の滝が所在しており、その上流側の街であることに由来するとのこと。
現在、滝西停留所までは現存しますが滝奥はほぼ廃村状態の模様です

駅逓というコトバは北海道独特のものでしょう。旅人の利便を図るため宿泊・運送・通信等のサービスを取り扱う宿場みたいなものだったそうです。
この時刻表でいう駅逓は国の登録有形文化財でもある旧上藻別駅逓で、このバス路線は現在も北紋バスによって運行されています。

こんどは名寄近辺まで飛びます。

かつての宮内省用地を表す「御料」という地名も道内には多く見られます。西御料という駅が富良野線にありますね。
現在この路線の御料地区はデマンドバスとして運行されているようです。

その下の「発電所」はどこでしょうか。この路線は廃止されたようなので今となっては不明ですが、風連から8.5キロという距離から察するに朱鞠内湖近くの雨竜発電所のことかと思われます(営業キロが役に立ちました 笑)。

この発電所にしても先ほどの駅逓にしても、一般名詞のみの停留所名もちょくちょく見受けられます。


続いては羽幌・天塩・遠別方面。かつて国鉄羽幌線(留萌ー幌延間)が通っていた日本海沿岸の地域で、運行会社名もずばり「沿岸バス」です。

羽幌から日本海沿いに北上し遠別・天塩高校に至る路線と、そこから内陸部に入って幌延町界近くの天塩大橋を経由し雄信内・泉源方面へ向かう路線が併載されています。天塩高校から先は路線廃止となったようです。
営業キロから察するにバスは宗谷線雄信内駅には寄らず、雄信内市街からそのまま泉源方面へ南下していたものと思われます。
終点の停留所「泉源」には温泉があるのかなと思っていましたがGoogle マップを見るとそうでもないらしく、泉源小学校跡とさらに南へ行けば泉源浄水場があります。
1日1往復だけの南雄信内停留所は、浄水場への分岐の手前あたりにあったのでしょうか。
蛇足ながら沿岸バスの萌えキャラに、かつての泉源停留所にちなむ泉源(いずみな)てしお嬢というのがいます。

最後はググッと太平洋岸まで南下します。
なんと「太陽行」のバスがありました。

同じ一般名詞地名でも発電所や泉源とは違う迫力というか、いきなり行き着くところまで行ってしまったかのような究極感があります。
「太陽」は新冠郡新冠町字太陽というごく普通の農村で、ストリートビューを見ても長閑な田園地帯が広がっており、廃校となった旧・太陽小学校校舎を活用したディマシオ美術館が立地しています。

この路線は、今は廃線となった日高本線の旧・厚賀駅を起点としていました。
道南バスが撤退した現在は、新冠町コミュニティバス・メロディ号と厚賀デマンドバスが運行されています。

この場所を太陽と呼ぶのならば、他にも太陽と名付けるにふさわしい場所がたくさんあるように思うのですが、どうも地名としての太陽は全国でもここだけのようです。

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