<関連ページ> これがタブレット閉塞器だ! |
|
当駅の通票 あれは1990年ごろだったでしょうか、綾部駅で行われた「鉄道部品即売会」にてキャリア込みで1万円の値が付いていたのを大枚はたいてgetしたものです。 当時でも普通にタマとキャリアを別々に揃えようとすると2万〜3万円は下らない出費になったのです。 お 買得品だったためかキャリアが相当に傷んでおりました。キャリアは皮革製のため接合部は凧糸で縫い合わせてあるのですが、通票収納部でその凧糸がブチブチ に切れていましたので、一旦抜糸して新しい凧糸で縫い直しました。太めの縫い針を使ってかなりの時間と労力を費やしましたが、何とか元の優美な姿を復元出 来たのではないかと自負しております。なお、輪の部分は糸切れがなかったのでそのままにしてあります。 輪の左上部が白いのは、買った当初から巻いてあった補強のビニールテープを剥がさずに置いてあるからです。 |
|
そして2019年、当駅に新しい通票が仲間入り! |
|
このほど当駅にやってきたニューフェイスは 北海道型キャリアに収まったジュラルミン製の第一種「マル」玉。 玉とキャリアのセット品を某オークションサイトにて入手しました。 道内のどこの線区で働いていたのかは全く不明なのですが ひとつよろしくお願いいたします、と兄貴分よんかくに仁義を切っているところです(笑) (もっとも、通票それ自体はどちらが年長なのかは分かりません) 通票兄弟 徹底比較!!
|
兄 貴 分 |
弟 分 |
||
キャリアは本州と四国で使われていた汎用的な形状。通票収納部はもちろん、ツル(輪)の部分も全て皮革で覆われ、丈夫な糸で縫製されています。また、形状や大きさに関しては鉄道管理局(JR化後は支社)、鉄道事業者あるいは線区によってさまざまな差異が見られました。 四国ではツルの部分が全て真っ白なキャリアが使われていました(→予讃線)。白いビニールテープで巻いてあったのか材質は定かではありませんが、夜間等における視認性を高めるためでしょうか。 九州ではツル部分の径が本州・四国より一回り大きなものが使用されていました(→日南線、後藤寺線、くま川鉄道)。 ツル部を覆う皮革は柔らかいものが使われていたようで、ツルがボロボロになって中のワイヤーが露出しているものも見られました。ツルが大きいのは、運炭列車華やかなりし頃、運転席の機関士が地上に立つ駅長とタブレットを受け渡すことが多かったからと聞いたことがあります。 |
キャリアはツル部の大半でワイヤーがむき出しになっている北海道型。ツル部の最上部がビニールテープ等で巻かれて補強されていることもよくありました。大きさ自体は本州・四国型とほぼ同じです(→非自動写真館の北海道各線をご覧ください)。 北海道では貨物列車や優等列車が通過授受を行う際、厳しい気候条件下での通票扱いの利便を図るため、車上側では授受兼用の特殊なタブレットキャッチャーを使うことがよくありました。通過授受を行う直前に運転士がキャッチャー下部の投げ棒にキャリアを引っ掛けておくと、駅の受器にそのまま落とし込まれ、 続いて授器のキャリアをキャッチャーがすくい取るというほぼ自動的な授受方式なのですが、キャッチャーの投げ棒にツルの革が引っかかるなどのトラブルが起こりやすいことから、ワイヤー露出形状になったものと思われます。ツル最上部のピニールテープは、投げ棒との間の摩擦を調整するためのものではないかと思われます。 |
||
通票が入っていない状態の前面部です。 収納部の蓋の部分は、開口部をほぼ塞ぐ幅のあるものとなっています。通票収納部の丸窓の周りは、重ねてある2枚の革が剥がれるのを防ぐために同心円状に二重の縫合がされています。九州型のキャリアでは、この部分に幅2cm程度の金属製の輪を打ち付けて補強してありました。 収納部の上にマジックで「西 62.5.1 舞」と記載されているのは、昭和62年5月1日に西舞鶴駅常備となったキャリアであることを示しています。同駅接続の線区でこの当時通票閉そくだったのは宮津線(現・京都丹後鉄道宮舞線)だけでしたから、事実上西舞鶴駅ー四所駅間専用キャリアだったものと思われます。 |
開口部の蓋が本州・四国に比べて小ぶりとなっています。蓋がツルに当たるのを避けたためでしょうか。ちょっと破れているのが残念です。 本州・四国型との大きな違いは、収納部周囲の凧糸縫合がなく、4か所にビスが打ち込んであること。しかもこれらのビスはツル部からの延長である収納部内のワイヤーを貫通しているように見えます。どういう構造かは分解すれば分かりますが、そんなことをすると元に戻せないので(汗) この他、前面部の革が左写真のものは二重だったのに対してこちらは三重であり、ビス留めとともに堅牢な造りに徹していることがわかります。窓も正円ではなく、やや横に広い楕円のような形です。 |
||
通票収納部の裏側は、ベルトのバックルのような金具で蓋を留めておく構造となっています。収納部の革の色に比べて凧糸の色がやたら白いのは、上述のとおり、駅長が手仕事で縫い直したことによるものです。
ツル部と収納部の分離を防ぐため、収納部の周囲にもツルのワイヤーがそのまま通る構造となっています。本州・四国型キャリアにおける部分品の接合は基本的に凧糸による縫合のみで行われているため、縫い直す時に古い凧糸を抜いたら部分品が全てバラバラになって相当焦りました(爆) 縫合している場所は必要最小限な部分のみで、デザイン的にもかなりシンプルだと言えます。 |
こちらも通票収納部の裏側はバックル式を採用しています。昔のことですからこれが最も確実な方式だったのでしょう。 前面からの折り返しが4か所もあって、しかもビス打ち込みであることで、左のものよりいかめしい外見でありつつも更に丈夫な構造となっています。これも厳しい気象条件下での過酷な使用に耐えるための工夫と思われます。基本的な部分は凧糸による縫合がされています。 収納部の蓋の部分の内側には、製造元である「高橋製作所」の銘がスタンプされているはずなのですが、古すぎてほとんど見えません。 |
||
収納部を閉じたところです。 不思議なのは、ベルト穴が2つ開いていること。通票の大きさ(径、厚み)はほぼ一定しているはずですから穴は1つでいいのではないかと思うのですが…。収納部内の空間もちょうど通票1枚分の厚みしかありませんから、通票サイズ以外のものを入れようとしてもほぼ無理です。 当駅では通票を入れた状態で上の穴に通して留めています。下の穴に通すとベルト部分が浮いてしまい、蓋も半開(通票だけに 笑)となってしまって収納の用をなしません。 |
やはりベルト穴は2つ。ただし、穴の間隔は左のものより若干狭いです。 ここで、ベルト穴が2つの理由を無理やり考えてみました。 (1) 稀に通票以外のものを収納することがあった(非常に考えにくい) (2) 上の穴がちぎれた時のスペア(上下順序が逆に思えますが) (3) 単に見栄え(1つ穴より2つ穴の方がカッコいい?) なお、これも本州・四国(たぶん九州も)と共通ですが、バックル金具の穴に通す棒(つく棒)が尾錠部に当たる部分は金属板が巻いてあり、摩耗を減らす工夫がされていることが分かります。 |
||
いよいよご本尊のお出まし(笑) もっとも一般的な砲金(銅と錫の合金)製のタマで、直径10cm厚み8mmは、赤いタイヤー型閉塞器での収納に合わせた共通仕様です。なお、票券閉そくに使う通票には、アルミ製の薄型のものなどのバリエーションがありました。 中央の穴と下の切り欠きが通票種別を表しています。切り欠きは、閉塞器に異なる種別の通票を収納することを防止するための重要部分です。 なお、調整などにより閉塞器から複数枚の通票を取り出して搬送する場合は一本の棒に通して施錠することとなっていますが、その棒を通すのが上の小さな丸穴です。 砲金は丈夫ではありますが傷つきやすく、この通票の左上に見られる無数の傷は、閉塞器の中で上部引手から滑り降りてきた通票とぶつかった跡と思われます。 |
昔からの砲金製に加え、後年になってジュラルミン(アルミニウムと銅、マグネシウム等の合金)製の
タマが登場しました。砲金よりも軽量で硬度が高くて腐食しにくく、航空機用資材にも使われています。 形状や寸法は砲金のものと基本的に変わらず、全国共通の閉塞器仕様です(北海道だからジュラルミン製というわけではなく、このタマがたまたまジュラルミン製だっただけなのです)。左のよんかくとの外見的違いといえば、色あい、上部の丸穴がないこと、通票同士がぶつかった傷跡がほとんどないこと等でしょうか。 材質とは関係ありませんが、種別穴の下の数字は閉塞器ごとの通票の通し番号です。2台で一対の閉塞器には合わせて24枚のタマが収められていますので、それぞれに1から24までの数字が打たれています。 |
||
今後とも当駅の通票をどうぞよろしくお願いいたします。
日立電鉄ミニチュア通票、名鉄通票キーホルダーとともに (ここから下は、当サイト開設以来ほぼそのままの内容です) |
ヒマな時はこうやって遊んでおります。 でも、見た目よりも結構重たいものなんですよ。 キャリア 505グラム 計1キログラム以上ありますから、 軽そうだと思って「ひょい」と持つとよろける恐れがあります(^^; また、ちょっと油断をすると コドモのおもちゃになったりもするので 取扱いには細心の注意が必要です。
(注)写真モデルはすでに成人しています |