謎の信号場群
山陽本線の広島以西には、過去に廃止された信号場が数多くあります。しかしそれらの信号場、どれもこれもちょっと奇妙なのです。
もちろんこれらの信号場は「停車場変遷大辞典」に記載があり、それぞれ根拠となる「通報」(鉄道管理局長名による通達)もありますので、
実在していたのは間違いないと思われます。
以下にその「謎の信号場群」の一覧を再掲します。どこが奇妙かがお分かりいただけると思います。
信号場名 |
隣接停車場 |
沿 革 |
現在の2.5万分の1地形図で見た現況 |
あじな |
1962/6/?廃止 |
早時鼻という小さな岬あり 山側は新興住宅地 |
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がむつ |
1961/12/?廃止 |
山側は新興住宅地 |
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やさか |
1964/月日不詳 廃止 |
周囲は若干の人家以外とりたてて何もなし |
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おがた |
1960/月日不詳 廃止 |
海側は埋立地らしい |
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しんみなと |
1960/月日不詳 廃止 |
工場地帯だが引込み線跡は確認できず 山側に和木ゴルフ場あり |
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あいち |
1961/月日不詳 廃止 |
とりたてて何もなし |
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たての |
1963/6/?廃止 |
とりたてて何もなし |
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たのよく |
1962/月日不詳 廃止 |
小さな岬が突き出す海沿い |
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さばがわ |
4.3←→3.5大道 |
1961/10/?廃止 |
南側に航空自衛隊基地あり |
よしわ |
1961/9/?廃止 |
ここから本由良方に向かって旧線路敷らしき小道が見える |
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ふくだ |
1960/月日不詳 廃止 |
約500m北に新幹線飯野山トンネルあり |
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まつや |
1960/月日不詳 廃止 |
付近に海上自衛隊基地あるも引込み線跡は確認できず |
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なめらいし |
→3.9長門一ノ宮 (現・新下関) |
1961/月日不詳 廃止 |
周囲は山を切り開いて造成された住宅地 |
とにかく廿日市−岩国間などは、ほぼ一駅ごとに信号場が挟まっているというすさまじさです。山陽本線の複線化は1944年10月10日の岩田−光間
を最後に完了しているので、これらの信号場は少なくとも交換型や複線始終端型ではありません。一番可能性が高いのは引き込み線等の分岐点ですが、
地形図で現況を見る限り、引き込み線が存在していたことを示す痕跡がほとんど見当たりません。これらの信号場に共通していることがらは
開業・廃止時期が1950年代末から1960年代前半までに集中
開業から廃止までわずか数カ月〜最大2年程度、しかもほとんど開業・廃止月日不詳
分類型を問わず、こんなに短期間で廃止されてしまった信号場って、どのような性格のものだったのでしょうか。
また、関係ないかも知れませんがトンネルの出入り口付近にあったものが多いという気もします。
あくまでこれは「停車場変遷大辞典」という文献の上だけでの話であって、実地を見ていないのでなんとも言いかねる部分はありますが、いずれに
せよ日本の信号場史上最大の謎と言ってよいのではないかと思います。