従来のリベットだらけの
シル・ヘッダー付き客車と
趣を異にするその外観が
僕の心にあまりにも大きな
衝撃を与えたのだった。
10系客車の中でも、国際列車の車両のような
A寝台車のサイドビューが特に好きだった。
乗ったこともないくせに…
B寝台車はもちろん3段式で
ベッド幅わずか52cm。
古くて狭くて、乗り心地も悪かった。
でも、
ブルトレや新幹線にない
何か誘い込むような力が僕には感じられた。
なぜ……?
僕は残念ながら彼等の全盛期を知らない。
ただ目の前に止まっている姿だけが
確かなものだったのだ。
もう今は走る姿を見ることはできない。
日本の鉄路に華やかな歴史の1ページを刻んで
彼等は去っていった。
急行きたぐに
1982年冬 大阪駅