謎の信号場群

山陽本線の広島以西には、過去に廃止された信号場が数多くあります。しかしそれらの信号場、どれもこれもちょっと奇妙なのです。

もちろんこれらの信号場は「停車場変遷大辞典」に記載があり、それぞれ根拠となる「通報」(鉄道管理局長名による通達)もありますので、実在していたのは間違いないと思われます。

以下にその「謎の信号場群」の一覧を再掲します。どこが奇妙かがお分かりいただけると思います。

信号場名

隣接停車場
沿   革

現在の2.5万分の1地形図で見た現況
阿品
あじな
廿日市4.5←→1.8宮島口 1961/12/21開業
1962/6/?廃止
阿品駅の少し宮島口寄り 海側は埋め立て地
早時鼻という小さな岬あり 山側は新興住宅地
賀撫津
がむつ
宮島口1.7←→3.2大野浦 1961/8/21開業
1961/12/?廃止
前空駅の少し宮島口寄り 広島電鉄をはさんで海に沿う
山側は新興住宅地
八坂
やさか
大野浦3.0←→1.9玖波 1963/月日不詳 開業
1964/月日不詳 廃止
国道2号線をはさんで海に沿う 
周囲は若干の人家以外とりたてて何もなし
小方
おがた
玖波2.2←→2.2大竹 1959/月日不詳 開業
1960/月日不詳 廃止
大竹市小方一丁目の小トンネル出口付近
海側は埋立地らしい
新港
しんみなと
大竹2.5←→2.8岩国 1960/月日不詳 開業
1960/月日不詳 廃止
小トンネル出口付近 岩国港口 
工場地帯だが引込み線跡は確認できず 山側に和木ゴルフ場あり
相地
あいち
神代2.4←→2.7大畠 1960/月日不詳 開業
1961/月日不詳 廃止
「宮岬」付近 海の際 国道を挟んで山地 
とりたてて何もなし
立野
たての
岩田3.1←→1.9島田 1962/6/?開業
1963/6/?廃止
「周南」付近 低い山が連なる丘陵地
とりたてて何もなし
田ノ浴
たのよく
戸田7.2←→1.3富海 1961/10/?開業
1962/月日不詳 廃止
大畠トンネル出口付近(上下線別トンネル)
小さな岬が突き出す海沿い
佐波川
さばがわ
三田尻(現・防府)4.3←
        →3.5大道
1961/8/1開業
1961/10/?廃止
佐波川を渡る橋の300mほど防府寄り 周囲は主に水田 
南側に航空自衛隊基地あり
善和
よしわ
本由良8.1←→2.2厚東 1961/5/?開業
1961/9/?廃止
「井手ヶ原」付近 東側にメキシコゴルフ場あり
ここから本由良方に向かって旧線路敷らしき小道が見える
福田
ふくだ
厚狭4.6←→3.7埴生 1959/月日不詳 開業
1960/月日不詳 廃止
山陽国際ゴルフ場北側のトンネル入口付近
約500m北に新幹線飯野山トンネルあり
松屋
まつや
埴生3.2←→3.0小月 1960/月日不詳 開業
1960/月日不詳 廃止
下関市松屋上町の小トンネル出口付近
付近に海上自衛隊基地あるも引込み線跡は確認できず
滑石
なめらいし
長府2.0←
  →3.9長門一ノ宮
    (現・新下関)
1960/月日不詳 開業
1961/月日不詳 廃止
滑石トンネル入口付近
周囲は山を切り開いて造成された住宅地

とにかく廿日市−岩国間などは、ほぼ一駅ごとに信号場が挟まっているというすさまじさです。山陽本線の複線化は1944年10月10日の岩田−光間を最後に完了しているので、これらの信号場は少なくとも交換型や複線始終端型ではありません。一番可能性が高いのは引き込み線等の分岐点ですが、地形図で現況を見る限り、引き込み線が存在していたことを示す痕跡がほとんど見当たりません。これらの信号場に共通していることがらは

 開業・廃止時期が1950年代末から1960年代前半までに集中

 開業から廃止までわずか数カ月〜最大2年程度、しかもほとんど開業・廃止月日不詳

分類型を問わず、こんなに短期間で廃止されてしまった信号場って、どのような性格のものだったのでしょうか。

また、関係ないかも知れませんがトンネルの出入り口付近にあったものが多いという気もします。

あくまでこれは「停車場変遷大辞典」という文献の上だけでの話であって、実地を見ていないのでなんとも言いかねる部分はありますが、いずれにせよ日本の信号場史上最大の謎と言ってよいのではないかと思います。

→→→  信号場群設置の経緯が(ほぼ)判明しました!