信号場よもやま話

其の一 日本一有名?な信号場(2002/10/7)

其の二 列車運転ゲームに出てくる信号場(2002/10/14)

其の三 忙しい信号場と暇な信号場(2003/2/3)


其の一 日本一有名?な信号場(2002/10/7)

いきなりですが、川端康成「雪国」の冒頭部分

 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。

 これこそ、過去から現在に至るまで最も多くの人の目に触れた「信号場(所)」、日本文学史上最も有名な信号場、と言えば言い過ぎでしょうか。
 この「信号所」とは上越線の土樽信号場(現・土樽駅)というのが定説となっています。たしかに、国境の長いトンネル(清水トンネル)を抜けたところの信号場といえば、昭和初期当時ではここだけでした。

 さらに読み進むと…

 向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落した。夜の冷気が流れ込んだ。娘は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように
「駅長さあん、駅長さあん」 明りをさげてゆっくり雪を踏んで来た男は襟巻で鼻の上までを包み、耳に帽子の毛皮を垂れていた。 もうそ
んな寒さかと島村は外を眺めると、鉄道の官舎らしいバラックが山裾に寒々と散らばっているだけで、雪の色はそこまで行かぬうちに闇に飲
まれていた。

 当時の上越線は通票閉塞式(タブレット閉塞式)だったはずですから、娘(葉子)が呼んでいた「駅長さん」は片手にカンテラ、もう一方の手にはタブレットキャリアを持って駅務室へ歩いている途中だったのでしょうか。ただ、この後は葉子と駅長がしばらく話し込んでしまいますので、閉塞扱いや信号扱いや発車時刻はどうなってもいいのか??などと思ってしまいますが(笑)


 このほか、鉄道ファンや写真家等の間で一世を風靡した信号場には、常紋(石北本線)、布原(伯備線/現・布原駅)といった撮影名所が挙げられるでしょう。また常紋信号場は、タコ部屋労働者の幽霊が出没するという「常紋トンネル怪談」の舞台としても知る人ぞ知る存在ですね(ただし常紋信号場は1999年以降、休止又は廃止となったとの情報もあります)

 まだまだこんな有名信号場があるぞ!という方は、ぜひ掲示板にて話題のご提供をお願いいたします。


其の二 列車運転ゲームに出てくる信号場(2002/10/14)


 列車運転シミュレーションゲーム「電車でGO!2」には北越急行ほくほく線が収録されていますが、同線上に所在する3つの信号場(儀明、薬師峠、赤倉)は当然ながらすべてゲームに登場します。とりわけ薬師峠信号場では、ある条件を満たすことにより特急「はくたか」と交換できるという信号場テイストあふれるイベントまで用意され、我々信号場愛好家は思わずにんまりとしてしまいます。

 しかしいいことばかりではありません。このゲームは、とても見すごすことのできないミスを犯しています。

 それは、信号場の入口の信号機が「閉塞信号機」となっていること(ゲーム音声で「第○閉塞進行」と喚呼している)。

このサイトを最初からご覧いただいている方にはお分かりいただけると思いますが、信号場は駅と同じく「停車場」です。停車場であるならば、その入口には進入の可否を示す場内信号機、出口内方には出発の可否を示す出発信号機が設置されるはずです。しかるに、ここでは信号場全体が1つの閉塞区間に組み入れられてしまっているのです。これは到底納得できません。

 「電GO!」では場内・出発・閉塞の各信号機を運転上極めて重要な装置として位置付け、鉄道初心者の人にも列車運行システムの基礎…特に「閉塞」の概念…が理解できるようなゲーム内容に仕上げてあることは、大きな特徴であると言えるでしょう。それだけに、そこまでするのなら信号場をきちんと停車場として扱うべきではなかったか、との思いが拭いきれないのです。また信号場を停車場として他の駅と同様に通過タイム計測の対象にすれば、一層スリリングなゲーム展開にすることができたのに、もったいない、とも思います。

 まぁこのゲームについて言いたいことは他にも山ほどありますが、ゲーム性を高めて楽しくプレイするためにやむを得ず割愛したり変えてしまったりした所が多々あるのは仕方ないことと割り切って、それよりもむしろ鉄道運転をゲーム化したという功績をまずは素直に讃えるべきなんでしょう、ね…

 ちなみに「電車でGO!2」では他にも、鹿児島本線折尾−黒崎間の東折尾信号場も画面に現れますが、こちらは貨物駅くずれの待避・分岐型信号場で、ゲームの上でのインパクトがないため無視状態です。場所は、セクションを過ぎてゆるい右カーブから直線コースに入ったところ、「あと1200m」付近の画面右側に分岐がたくさん現れるあたりです(現・陣原駅もこのへん)。


<電車でGO!シリーズに登場する信号場>

ソフト名

路線名

信号場名

メ モ
電車でGO! 東海道本線 吹田(千里丘−岸辺) 名称字幕なし
全く無視状態
電車でGO!2 ほくほく線 儀明(ほくほく大島−まつだい)
薬師峠(まつだい−十日町)
赤倉(美佐島−魚沼丘陵)
名称字幕あり
電GO!で初めて認知された信号場
大阪環状線 境川(弁天町−大正) 名称字幕あり
制限60のポイントとして登場
電GO!で初めて認知された信号場
鹿児島本線 東折尾(折尾−黒崎) 名称字幕なし
全く無視状態
電車でGO!
名古屋鉄道編※
名古屋本線
犬山線
枇杷島分岐点
(東枇杷島−西枇杷島・下小田井)
名称字幕なし
名古屋本線方と犬山線方の2基の信号機が
あり、インパクトは十分
犬山線 砂入(枇杷島分岐点−下小田井) 名称字幕なし
全く無視状態
汽車でGO! 磐越西線 沼上(中山宿−上戸) 名称字幕なし
交換型なのになぜか無視
信号場小屋(継電器室)は表現されている
※名古屋鉄道の2か所については、独立した信号場ではない可能性があります(現在調査中)

 なお、私はプレステ2を持っていないので、上記より後のバージョンについては存じ上げません(^^;;

 ただ、田沢湖線内の志度内信号場で秋田新幹線「こまち」同士が交換するとかという噂が…。

 そして「電車でGO!旅情編」には江ノ島電鉄が収録されているため、峰ヶ原信号所は当然登場するものと考えられます。これらゲームの経験をお持ちの方、状況をお教えいただければ幸いです。


其の三 忙しい信号場と暇な信号場(2003/2/2)


 言うまでもないことですが、交換型信号場は、列車本数の増加への対応、柔軟なダイヤ組成などを目的として設置されます。ですから、交換型信号場には列車の交換や待避といった役割を遺憾なく発揮することが期待されます。

 しかし実際には、目まぐるしく交換や待避が行われる信号場もあれば、その逆の「暇な」信号場もあります。そこで、時刻表を参考にいくつかの主だった路線のスジを引いてみて、各地の信号場の稼動状況を調べてみようと考えました。その結果は次のとおりです(JTB時刻表2002年10月号時点)。ただし、貨物列車や臨時列車は考慮していません。

凡例…信号場名=交換の回数/待避の回数 

<石勝線・根室本線 南千歳−新得間> 駒里=4/1  西早来=2/1  滝ノ下=2/0  オサワ=1/0  
東オサワ=2/0  清風山=4/0  東占冠=0/0  滝ノ沢=0/0  ホロカ=1/0  串内=1/0  
上落合=3/0  新狩勝=3/1  広内=6/0  西新得=1/0
※貨物列車や臨時列車の本数が多いので実際はもっと交換・待避頻度は高いと思われますが、それでも暇そうな信号場が
散見されます。駅・信号場を含めた平均停車場間隔は約5.5キロで、潤沢に交換設備があると言えますが、列車密度に比べ
て多すぎる感もあります。第2・第3の旧・鬼峠信号場が現れるのは時間の問題かも。

<石北本線 上川−上白滝間> 中越=3/0  上越=2/0  奥白滝=0/0
※ここは全国有数の列車密度希薄地帯ですから、中越・上越両信号場は大健闘と言えるでしょう。奥白滝信号場が全く働い
ていないのが気になります。平均停車場間隔は約9.3キロ。
なお、上り普通4670Dの上白滝発が1726・上川着が1832となっています。この間に「オホーツク5」と交換するのです
が、中越・上越のどちらで交換するのかが分かりません(一応中越と仮定していますが)。しかし次の駅まで1時間以上を
要する普通列車というのもすごいですね。

<田沢湖線 赤渕−田沢湖間> 大地沢=6/0  志度内=1/0
※「こまち街道」の田沢湖線ですが、大地沢信号場は十分に職責を果たしているものの、志度内信号場が意外にも暇でした。
臨時列車運転時や非常時には力を発揮するのでしょう。平均停車場間隔は約6.0キロ。
(志度内信号場で定期の交換があることについて、murasuke様からご指摘を頂きました)

<篠ノ井線 冠着−稲荷山間> 羽尾=1/1  桑ノ原=6/0 
※羽尾信号場、姨捨駅、桑ノ原信号場の3停車場連続スイッチバックで有名です。運転上の障害をものともせず桑ノ原信号
場が6回もの交換を扱っているのは見事です。ちなみに姨捨駅は12/1ですが、同駅でさばききれない分を両信号場で分担
している、といった感じです。平均停車場間隔は約3.7キロ。

<高山本線 上麻生−下呂間> 飛水峡=6/0  鷲原=3/0  福来=5/1  少ヶ野=3/0
※「ひだ」が雁行する特急街道だけに、各信号場ともまずまずの忙しさです。飛水峡信号場での交換が多いのは、停車中に
渓谷美をゆっくり楽しんでもらおうという配慮?(笑) 下呂駅からわずか1.7キロしか離れていない少ヶ野信号場で3回
も交換(うち1回は「ひだ」同士)があるのはあっぱれとしか言いようがないですね。平均停車場間隔は約5.0キロ。

<関西本線 加太−柘植間> 中在家=3/0
※ここもスイッチバック式で、普通列車同士の交換が午前中2回、夕刻1回あります。10年近く前までは日中の普通列車
ほとんど全てが交換するすさまじいダイヤが設定されていました。今でも、伊勢方面への修学旅行臨は必ずここで交換する
という伝説(?)があるそうです。平均停車場間隔は約4.5キロ。

<美祢線 厚狭−湯ノ峠間> 鴨ノ庄=0/0
※石灰石貨物列車が全廃されてからは鴨ノ庄信号場の出番がなくなりました。現在の列車密度では、廃止された旧・松ヶ瀬
信号場の二の舞いとなる可能性が高いものと思われます。平均停車場間隔は約2.1キロ。

 他にもたくさんの信号場がありますが、時間と根気がないのでこのへんでお茶を濁しておきます(笑)

 その路線の列車密度にもよりますが、だいたい日に3回以上交換・待避のある信号場はよく働いているほうではないかと思います。また、優等列車が多く走る幹線級の線区ではほぼ全日にわたり信号場での交換・待避があるのに対し、ローカル輸送主体の線区では日中のパターンダイヤ時間帯を除く朝夕ラッシュ時のみ信号場での交換・待避が発生する傾向があるように感じられます。一方、全く交換・待避のない「暇な」信号場もぽつぽつ見受けられますが、その中には、列車本数の減少などにより既に使命を終えたとみなされるものもいくつかあります。

この信号場稼動状況については、機会を見て何らかの形でコンテンツ化したいと考えています。